鑑賞動機が挿入曲(チャイルド・イン・タイム)一点買いなので、大した期待はしていませんでしたが、にしてもこりゃ一体なんじゃらほい。
ユニバーサルとワーナーが金出して、スピルバーグが製作総指揮やって、マイケル・クライトンが脚本書いて、ILMが特殊効果担当して、どうしてこんなものが出来上がる?
何か金をドブに捨てなければならない大人の事情でもあったのか?
「ツイスター」(1996年/ヤン・デ・ボン監督)
アメリカの風物詩“竜巻”をテーマにしたディザスター・ムービー・・なのですが、とってつけたドラマ部分が本当に、本当に、本当にどーでもいい出来(実際何度も口に出して言いました。「どーでもいいよ!」と)。
離婚寸前の夫婦が別れるの別れないの、離婚届にサインするのしないの(どーでもいいよ)。
主人公のアイデア盗んだ元同僚が竜巻観測の先を越すの越さないの(どーでもいいよ)。
竜巻は他の災害と違い、一過性(二次災害が起こらない上に移動するので、被災地に限定したドラマが作れない)。
つまり、“防ぐ”“脱出する”“救出する”という災害映画の鉄板フォーマットが全て禁じ手。
恐らく、このハンデを克服するために“竜巻のデータ収集観測員が竜巻を追いかける”という設定にしたのでしょうが、工夫がないにも程があります。
延々観測機材を積んだ車の群れが道を走っているだけ。
ドラマと言えば、熟年夫婦の痴話喧嘩。忘れた頃に災害CG。
何故か最も大きな被害を出したエリアは直撃シーンを撮らずに、いきなり全壊した街並みという手の抜きよう。ここ撮らないで何撮るんだヤン・デ・ボン?
唯一の見せ場は宙を舞う牛(凄く可愛い)。
因みに「チャイルド・イン・タイム」は、フィリップ・シーモア・ホフマンの運転する車のステレオから流れておりました。ご丁寧にライブ映像まで挿入されていたのですが、これが何を血迷ったかカリフォルニア・ジャム。
カリフォルニア・ジャムで「チャイルド・イン・タイム」は演っとらんだろ。第一、ボーカルが違うじぇねえか。ホント、やる事が寸足らずだな。
※参考:「センサラウンド無しでも。 大地震」→2010年5月14日
「さめざめと男泣き。 4時の悪魔」→2010年10月10日