ネットでは総じて高評価・・うーむ、やはりこの監督とは相性が悪いのだろうか。
「ミッドナイト・ミート・トレイン」(2008年/北村龍平監督)
北村監督のハリウッド進出作です。
ニューヨークで続発する失踪事件。最終地下鉄に徘徊する謎の堵殺人マホガニー(ヴィニー・ジョーンズ)。
偶然、撮影した女性が地下鉄乗車後に行方不明になった事から、事件と関わりを持ったカメラマン、レオン(ブラッドリー・クーパー)。
全編無機質なブルーとグリーンで染め上げた「俺ってスタイリッシュ?」な自己主張に早くも辟易。
精肉ハンマーで一撃必殺の職人仕事を見せるマホガニーのキャラはなかなかですが、設定、展開全てに無理ありすぎ。
いくら終電だからって、いつも全車両の中の1車輌だけに数人の乗客なんて都合のいい割り振りはないだろう。
途中、別ルート(昔の引込線)に入るわけだから、他に乗客がいたら騒ぎになるはず。
いや、それ以前に、この地下鉄、終着駅に着いていないって事だろ。
地下鉄って綿密な運行管理がされていて、ちょっと遅れただけでも、管理センターから警告が入るんじゃなかったっけ?
それが、途中で路線外れて終点着かずに行方不明で誰も気づかず? ありえねぇ。これ実践するなら、地下鉄運行会社、警察、マスコミが(個人ではなく)組織として協力しない限り不可能です。
レオンの恋人マヤ(レスリー・ビブ)もマホガニーの家に侵入するのに何故夕方を選ぶ? 職場分かってんだから不在確実な昼間にしろよ。帰って来るに決まってんだろ。
それまで全ての犠牲者を一撃で屠ってきたマホガニーがカメラマン風情に悪戦苦闘というのも白ける白ける。
で、倒したレオンを殺さずに放置。何で? マホガニーの後継者として選ばれたと言うのなら“お払い箱”になるマホガニーの行動に説明がつかん(「センチネル」と「家」100回観直しの刑)。
マヤは話に絡むようで全く絡まず、何しに出てきたんだ状態。マヤとレオンのやりとりもどーでもいい上に鬱陶しいばかりでイライラ倍増(明らかにリズムを崩して勢いを殺いでいる)。
CGゴアシーンはギャグとしての演出なら面白いですが、そこだけ浮きまくっていて違和感ありあり。
サム・ライミ辺りが「XYZマーダーズ」くらいのノリで撮れば、もっと楽しめるものになっていたのではあるまいか。
米国興行惨敗、日本ビデオスルーという扱いも納得の1本でした。
※参考:「ゴジラFinal Wars」→2010年5月10日
「VERSUS」→2011年7月8日