ペットショップに行けば店長から「苦労されてますな」、
職場で同僚に「分け目を変えれば隠せるぞ」、
折角、彼女が髪を撫でてくれているのに「よせよ、気にしてるんだから」
ここまで、薄らハゲを自虐的なまでに強調されたヒーローがいたでしょうか。
トイレに流されたワニの赤ちゃんが15年後、巨大な人喰いアリゲーターとなって里帰り。
前半は、下水道に何かがいる、というサスペンスですが、後半は一転怪獣映画。
コンクリとアスファルトを突き破って地上に現れ、人間踊り喰いという出し惜しみのない展開に拍手喝采。
追うのは、不注意から相棒を死なせてしまった過去がある薄らハゲ刑事マディソン(ロバート・フォスター)、15年前にワニの赤ちゃんを買った生物学者マリッサ(ロビン・ライカー)、そして、ワニ退治の専門家ブロック大佐(ヘンリー・シルヴァ!)。
マディソンの上司に「ゴッド・ファーザー」にも出ていた禿親父マイケル・ガッツォ、違法に成長ホルモンの動物実験を繰り返している製薬会社社長に「死亡遊戯」のつるっ禿爺ディーン・ジャガー、更にTVリポーターに元祖ロリータ、スー・リオンと脇固めも絢爛豪華。
「グリズリー」では、ハリボテの熊手を振り回して腕やら脚やらを千切り飛ばしていましたが、本作では尻尾。
尻尾ぶぅん!→人間ぴょーん!(←マトリックスのように景気良く飛んでいく)の繰り返しが結構ツボ(最早ギャグにしか見えない)。
鳴り物入りで登場して、どんな大活躍してくれるんだよ、と期待したヘンリー・シルヴァが、瞬きする間に退場したのも大笑い。
積み重ねたエピが伏線としてきちんと回収されている構成の妙に痺れます(流石、ジョン・セイルズ)。
本物の大ワニとハリボテの大ワニとミニチュア・セットの中を歩く小ワニを巧みに使い分ける編集も素敵。
動物パニックではないですが、「ヒドゥン」と近しい匂いがするA級のB級映画です。