戦闘機対戦車!!
何と潔い、何と躊躇いのないタイトルでしょう。
そして看板に偽り無し。登場するのは飛行能力を奪われた一機の戦闘機と砂漠のど真ん中で迷子になった一台の戦車。
砂塵を舞い上げて命がけの鬼ごっこが始まった。
「戦闘機対戦車」
(1973年/デヴィッド・ローウェル・リッチ監督)
第二次世界大戦の北アフリカ戦線。燃料補給で英国軍基地に立ち寄った米軍戦闘機パイロットは、近くにあるという地雷原の探査(サーチ&デストロイ)を依頼されます。
米国人の英軍志願兵を道案内(とは名ばかりのお目付け役)に砂漠へ。
しかし、そこには本隊を離れ道に迷い、一打逆転の妄想に取り憑かれた将校に指揮されたパンツァー戦車という“狂った悪魔”が待ち構えていました。
被弾し、冷却液が漏れ、飛行不能で砂漠を這いずり回る戦闘機と、予備兵力だったため、砲弾だけはたんまり持っている戦車。
無線が感度不良で互いに救援を期待できない状況下、背景は熱砂のみというシンプルな画面、追いつかれたらアウトと言う分かりやすいにも程がある命のルール。
正に戦場版「激突!」。
僅か73分のテレビ用映画。余計な贅肉を極限まで削ぎ落として戦闘機対戦車のガチンコ・バトルを描きつつも、しっかり登場人物のキャラを描き分けている所がミソ。
ヤンキーらしい飄々とした米兵カルペッパー中尉(ダグ・マクルーア)、任務に忠実な米国人英兵マクミラン(ロイ・シネス)、完全に目がイッテしまっている独軍将校バイムラー将軍(ロイド・ブリッジス)、将校に従いつつその行動に疑心の眼を向ける独軍戦車長ステファー(エリック・ブレーデン)。
永らくVHSの中古がamazonで1万円越えという御無体な値付け(しかも、収録時間が3分短いカット版)で出回っていましたが、この度まさかのDVD化。
偉いぞ、キングレコード。