デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

熱さが無い…。ネオ・ウルトラQ/第1話・クォ・ヴァディス

イメージ 1体温低いなあ…が第一印象。

「ネオ・ウルトラQ/第1話・クォ・ヴァディス(2013年1月12日放送/石井岳龍監督)

ウルトラQ」続編企画の第1話が放送されました。

まず驚いたのは映像クォリティの高さ。

WOWOWのHPによれば、HDの4倍の情報量が撮れる最新鋭4Kカメラを導入したんだとか。

発色を抑えたモノトーンギリギリの色調と相まって風格のある画作りになっています。

オリジナル同様、主人公は男・女・男(三つ重ねて一文字にすると素敵な漢字になります)の3人組。

万城目に相当するのが田辺誠一演じる南風原仁(はいばらじん)。職業は心理カウンセラー。

由利ちゃんが高梨臨演じる渡良瀬絵美子。フリーライター(オリジナルと被りますね)。

そして一平が尾上寛之演じる白山正平。バー・トビラのマスター。

怪獣が既に何度か現われ、被害者や保護団体が存在している世界が舞台。過去に現われた怪獣がオリジナル・ウルトラQ時代のものかどうかは現時点では不明。

トップ・バッターとなる怪獣はある目的地を目指して移動するだけのニルワニエ。

古木を模したような、神社の鳥居くらいの大きさの怪獣です。

移動の前後を警官隊が包囲。全世界中継中の為、発砲の許可が下りない辺りが現代的。

怪獣出現に対する政府発表は「専門家の意見を総合しますと、直ちに何らかの影響があるものではございません」。ナイスです。

さて、ニルワニエの目指す場所とその目的は…というのがお話の骨子。

彩度の低い色彩と、出演者の淡々とした演技のせいで、とにかく地味

本来なら尾上くんが“憎めない三枚目”としてコメディ・リリーフに走るところなのでしょうが、中途半端に熱血漢でちょっと鬱陶しい(イラっとする)。

自分の店を(店番もいないのに)放り出して出掛けちゃうとか、考えられません。

田辺誠一も渡良瀬絵美子も難しそうな顔ばかりで実に辛気臭い。

オリジナルは、頼れる男+御転婆(死語だな)娘+愛すべき三枚目という配置が絶妙なバランスを生んでいましたが、今回は暗い+地味+ガキ

テーマ曲は勿論“あの”曲ですが、伴音は別物。宮内國郎氏のスコアを再録してくれたら随分と印象は変わっていたでしょう(音楽は魔物)。

長塚圭史のナレーションも個人的には微妙。異界に誘(いざな)う声としては魅力に欠けます(抑揚のつけ方が平坦で耳に残らない)。

折角の企画なので、もう少し熱気のようなものが欲しかったなあ。

とは言え、監督によって匙加減が大分違っているようなので、味付けの違いを愉しめば良いのかもしれません。