デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

大丈夫か?(駄目です…) だいじょうぶマイ・フレンド

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這いよれ!ニャル子さんW/ユゴス・アタック」の圧倒的な力を持つ異性人も意外なものに弱点があったりするんですよ。トマトだったりという台詞を聞いて思い出しました。

今日に至るもキティフィルム(現株式会社キティ)内で“絶対に口にしてはならない”という伝説を作った禁忌の映画を。

 

「だいじょうぶマイ・フレンド」
(1983年/村上龍原作脚本監督)


村上龍の「カン●リア宮●」は自分がいた業界か仕事に関連している企業が取り上げられた時くらいしか見ませんが、その度に

「何でこの人はここまで的外れな事をここまで自信たっぷりに言えるのだろう」

と感心してしまいます。本作の感想もほぼ同様。

ある日、空から落ちてきた人影。それは飛べなくなったスーパーマン

偶然、墜落を目撃した若者3人が、彼を宇宙に帰すべく奔走。しかし、悪の秘密結社DOORS(勿論あのバンドとは無関係)がスーパーマンのDNA細胞を狙い…。

というプロットは悪くはありません。スーパーマン、ゴンジートロイメライピーター・フォンダを配すると言う“バブル経済恐るべし!”なキャスティングも凄いの一言。

ついでに音楽面も加藤和彦筆頭に桑田佳祐坂本龍一来生たかお高中正義という“見たかキティの底力!”な豪華布陣。

これだけの材料を揃えて、よくぞここまで…(泣)。

ある意味、天才(だと思い込んでいる人)にしか成し得ない“自覚なき暴走”。

トマトが苦手(見ただけで超能力を封じてしまうほど。ドラキュラのニンニクみたいなもの)なスーパーマン

やたら「チンコ!」を連発する秘密結社(リーダーは根津甚八でホモ)。

「空飛ぶ練習ならサイパンでハングライダーだ!」と得意げに叫ぶ若者(渡辺裕之)。…冗談かと思ったら次のカットで本当にサイパンへ。

無意味に挿入される広田玲央名の歌と踊り。

“大昔、一度だけ人間の女と寝たことがあるが、弾よりも早い射精で即死させてしまった”という恐ろしい伏線。

DOORSに捉えられたゴンジー最後の願いが“マスターベーション”。本気か!? クライマックスだぞ。

勿論本気。決して狙った訳ではない天然の発想が全編に渡って大爆発(結果、自爆)。

村上龍の文体は嫌いじゃありません。「コインロッカー・ベイビーズ」とか「昭和歌謡大全集」に於ける言葉のリズムや日常が非日常に転位するダイナミズムなんか大好きです。

でも映像表現は…。

キティは120分休憩無しで鑑賞しきった人には粗品のひとつくらいあげてください。

今回観直して気がつきましたが、ゴンジーが最初に落ちた場所(本家スーパーマンのスモール・ヴィルに相当する所)って“インスマウス”だったんですね(ここでニャル子、と言うかクトゥルーと繋がった!)。