デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

感動の横車を押してはいけない。 COPPELION♯2未来

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「小さい頃からこの任務のためだけに訓練してきたんです。旧首都で救助活動をする、そればっかり。他のことなんて何も知りません。いいんです、どうせ、動く人形なんやから。でも、あなたたちにまで拒まれたらあたしが生きる意味なんてなくなってしまう。お願いです、その子を救助させてください! 私の18年間を消さんといて!」

荊の気持ちも作り手のやりたい事も分からなくはない。でもな、

感動の横車は良くないぞ。

「COPPELION/第2話・未来」(2013年10月11日BS11放送/演出)

“事故”で“汚染”された“旧首都”で生存者を探す荊ら3名の前に武装した男が。

男は娘を探していました…。

汚染を免れた無菌室で暮らす男、娘、女。男と女は“事故”の混乱に乗じて刑務所を脱走した犯罪者。

汚染による危険と引き換えの自由。救助は余計なお世話なのか。

ちょっと「キャシャーン無用の街」を思い出してしまいました。

感動的と言えば感動的ですし、実際感動したような気にもなったのですが、話と作画に矛盾がありすぎて、どうにも釈然といたしません。

救出は男と女の再逮捕を意味するので、女が家族ごっこ継続のために娘を隠して“行方不明”を演出したようなのですが、動機も手段も目的も今ひとつ良く分からず。

で、作画上の致命傷が、半倒壊したホテルから投げ出された女の手を荊が掴むシーン。

まず、女は娘を左手で抱えて、右手を荊に握られています(写真2枚目)。荊は右手一本で女を繋ぎとめています(写真3枚目、4枚目)。

いつまでも二人分の体重を支えることはできません。女は「私はいいからこの娘の手を」みたいな事を言いつつ力尽きて落下(写真5枚目。娘はおらず一人でフリーフォール)。

荊の空の右手が虚しげに空を掴んで…(写真6枚目)。

で、次のカットでは娘を抱きしめる荊が…って待て待て待て!

娘はいつ誰がどうやって助けたんだ?!

女が左手で抱えた娘を重量挙げのように片手で持ち上げて、自分の右手とマッハですり替えたとでも言うのか? 有り得ない。女が落ちた時、荊の手は何も掴んでいなかったではないか。

考えられる可能性は、娘がロッククライミングの要領で女の肩によじ登り、繋がった2本の腕をロープ代わりに伝い、登り切った後に女が落ちた、という事しかないですが、そんな事あるわけが…。

女がそんなイリュージョンかましているとは知らない父親は防護服の効かない強汚染エリアに侵入して虫の息。

挙句、「こんなザマ娘には見せられん」という理解不能な理屈で救助を拒否。荊は前回「どんな状態の人間でも手当てする(助ける)」とか言っていたくせにこれを受け入れて置き去り。言っている事とやっている事が矛盾していないか。

因みに強汚染エリアの競技場、原作(未読)では“ストロンチウム骨”が山積みされている、という描写になっているそうですが、アニメでは“慰霊碑”が1本映るだけで他には何も(写真1枚目)。

どこまでも隠し通す気みたいですね。

前回なかったOPが今回から登場。結構派手派手な、明らかに本編とは違う手触りの映像があったので、そっちの方に期待します。