予告編を見た限りでは、オリジナルの絵柄をそこそこ拾っていたので、てっきり“バカップルが森のキャビンでどんじゃらほい”をベースにした痛点強化型リメイクになるのかと思っていたのですがまるで違いました。
単なる記号に堕した男女が繰り広げる閉塞感満点の血みどろ茶番劇。それが、
森のキャビンに集まったデヴィッド、エリック、ミア、オリヴィア、ナタリー(頭文字を繋げるとDEMONになる。わぁお洒落)。
目的はミアの薬物依存克服。
過去に何度も挑戦と挫折を繰り返してきたミアは不退転の決意でヤク絶ちに臨みますが、禁断症状が出たら即リタイア。
「FUUUUUUUCK!」と叫びながら車を飛ばしますが、森は出口の無い閉鎖空間と化しておりました。
オリジナルにあったアッパーな明るさをまるっと割愛。これがあるから怪異が起きた瞬間のインパクトがあったのですが、もう最初からシリアス路線。
精神を病んで死んだ母、その母を捨てて家を出た兄。そして母を押し付けられて自らはヤク中になった妹。兄妹久しぶりの邂逅も横たわる溝は深く…。
いらんだろ、そんな鬱陶しい人間関係。
人数限定、場所固定のシチュエーション・ホラーなのにキャラ立ち皆無。
誰にも感情移入できず(正直、全員気に入らない)、もう誰がどの順番で死のうが興味無し。
痛覚直撃な場面は多々ありますが、いくらグロ描写を重ねても物語は走りません。
ラストも「え、終わり? これで? 嘘ぉ。あ、クレジット出ちゃった」な腰砕けエンド。
結局、観終わって印象に残ったのはクレジット後に一瞬登場するアッシュのみ。笑うに笑えません。
やはり「死霊のはらわた(1981)」や「悪魔のいけにえ」は、天文学的確率の偶然(予算×日数×天候×絶望的状況から生まれるアイデアと役者のテンションetc)が生み出した奇跡だったのだと今更ながら確信いたしました。
プロデューサーとして名を連ねているサム・ライミとブルース・キャンベルに本作に関する正直な感想を聞いてみたいものです。
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フィリップ・シーモア・ホフマン急死!!!
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フィリップ・シーモア・ホフマンが急死しました。
2月2日。ニューヨークの自宅アパートの浴室で。死因はヘロインの過剰摂取。46歳。
よりによってオーバードーズとは…。
ホフマンは長期に渡って薬物中毒と戦っていたようです。「死霊のはらわた」のミアみたいな状態だったのかも。
出演作は多数ありますが、お気に入りは「マグノリア」の看護士。静かな物腰が慈愛を感じさせるまっすぐな役柄でした。
ご冥福をお祈りいたします。