順列組み合わせの隙間を縫ったような邦題に、スチャラカ残念ホラーを想像(と言うか期待)していたのですが、善くも悪しくも別物でした。
正体は、スウェーデン産「死霊のはらわた」。
見事なまでのパクリ企画。しかし、その差異は好みの分かれるところかも。
「悪霊のはらわた」(2012年/ソニー・ラグーナ&トミー・ヴィクルンド監督)
7人の男女が週末を森のキャビンで過ごそうと…中略…キャビンの地下には邪悪なものが棲んでおり、とり憑かれた者は…以下略。
本家との違いは、
ユーモアゼロ。愚直なまでにゴア一筋。
「死者の書」のような小道具無し。呼び出すまでもなく奴はいる。
アッシュのようなキャラ立ち無し。皆どこにでもいる普通の若者。
樹に姦られちゃうような、ある種ファンタスティックなシーンもありません。
スプラッター一辺倒な展開を“潔し”と讃える向きもありますが、一本調子なスプラッターは正直途中で飽きます。
笑いが必要だとは思いませんが、適度な急緩は大事。80年代に完成されたフォーマットを使うのなら、何かスパイスがないと。
この辺り、巧い事やっつけたのが「キャビン・フィーバー」「処刑山」、いらんもの付け加えて自滅したのが「キャビン」「リメイク版死霊のはらわた」ではないかと。
本作の特筆すべき特徴を挙げるとすれば“ボスキャラの眼力”。
化け物と化した人間同士は、噛み付かれる、引っ掻かれる、血を浴びるなどの“接触”を以って感染しますが、ボスキャラは違います。
睨むだけでOK。
目が合った瞬間、「おんどれ何メンチ切っとんじゃ。それ相応の覚悟があってやっちょるんじゃろうの」という思念が飛んできて(?)怪物と化してしまいます。
という訳でクライマックスは、「人が話ししちょる時は目を見て聞かんかいコラ!」というボスキャラと「あ、いえ、そんな、僕…」と視線を外しまくる生存者の緊張感溢るる(そして、あっけないにも程がある)戦いに(写真一番下)。
てっきりボスキャラは地下に“封印”されているのかと思っていたら、普通に「どっこいしょ」と出てきたのも驚き。「結界とかなかったんかい!」
まあ、お笑いが入っていると言えば入っているということでしょうか。