「推進機関手動用意。左右の点火をずらして舵を取り、推力5で加速する」
「な、斜め加速ですか?! 重力場発生装置が軽減できるのは1G程度迄、それも垂直方向だけです。推力5で斜め加速などしたら…」
「何度も言わせるな。ガウナのシドニア艦内の侵入だけは絶対避けねばならん」
艦内に鳴り響く停重力発生警報。安全帯と呼ばれるフックで身体を固定する乗員。
点火と同時に大きく尻を振るように取り舵一杯姿勢となり、揺さぶられ吹き飛ばされる乗員たち(写真左側2段目3段目)。
居住区では家具が窓ガラスを破って宙を舞い、安全帯の固定が間に合わなかった人間は景気良く中空へ。
落下せず向かいの建物の側面に次々叩きつけられ、血糊のアートを残して肉塊と化す人々。
構造そのものが脆弱な建造物は引き千切られるように倒壊して瓦礫の山を築く。
凄い…。描写が物理的に正しいかどうかは分かりませんが、そんな事どうでも良くなる緊張と迫力(エンジンの重低音がまた…。音響監督の岩波美和さんグッジョブ)。
近年珍しい、SF的な記号をこれでもか!と散りばめた骨太なSFドラマです。
奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体によって地球が滅んで1,000年。
地球脱出に成功した一部の人類は、播種船と呼ばれる移民・戦闘用の世代宇宙船(マクロスみたいなものです)を建造し、奇居子から逃れつつ植民可能な惑星を探していました。
谷風長道(たにかぜながて)は、播種船のひとつ“シドニア”の最下層で祖父(と名乗る男)と二人だけの暮らしを送っていましたが、祖父が死に、食料も尽きたため、上層部へ。
ま、コナンが残され島からインダストリアに行ったようなものです。
長道とタイミングを合わすかのように100年ぶりの奇居子出現。
奇居子を倒すには、衛人(もりと)と呼ばれる人型兵器に搭乗して、胞衣(エナ)と呼ばれる外皮を破壊した上でカビザシと呼ばれる特殊な槍(ロンギヌスの槍みたいなものです)を突き刺さねばならないのですが、直近の戦闘が100年前。実戦経験なんぞ(不死となっている一部の人間を除いて)ありゃしません。
「15年ぶりだね」なんてレベルではない接近遭遇。
長道も衛人操縦士としてこの闘いの渦に。
長道には本人も知らない謎やら秘密やらがあり、一種の“異能者”なんですね。
エリート意識だけが増長した普通の人、岐神海苔夫(くなとのりお)がイプシロンの役回りでしょうか。
奇居子討伐のため出撃した精鋭部隊は全滅。即座に重質量砲を放つも奇居子は自身の形状を変化させてこれを回避。一直線にシドニアへ…。
ここでシドニアの女性艦長・小林の下した判断が、斜め加速による軌道変更。
大量の死者と建造物の破損を招くと分かっていながらの決断。艦長のキャラを決定付ける名シーンでした。
5話迄で序盤のエピは一区切り。今後の展開が楽しみです。
angelaの歌うOP主題歌「シドニア」は個人的今期最高峰。
♪打ち砕け~!