
ビデオテープ廃盤から幾星霜。国内ではDVD化の気配も見せない不遇の作品がようやくアメリカでBD化されました(世界初)。
観直して確信しました。やっぱり傑作です! 他人の評価など知ったこっちゃありません! 本作と「天国の門」は問答無用のマイ・フェイバリットです。
「恐怖の報酬[北米版BD]」
(1977年/ウィリアム・フリードキン監督)
勿論、劇場公開版より30分長い完全版。
逃亡生活を強いられる喰い詰め者たちの様子を丹念に描く冒頭部。
ロイ・シャイダーらが襲撃する教会では一組のカップルが結婚式を。
よく見ると花嫁の左目には大きな青タンが。
結婚以前にDVを受けている…この花嫁を待ち受けているのは幸福な新婚生活ではないでしょう。それはそのままロイ・シャイダーらの行く末の暗示でもあります。
一瞬しか映らない人間の背景を青タンひとつで…何という描き込み!
ヤマを踏み間違えた男、ビジネスに失敗した男、テロリストとして追われる男。彼らが地獄の片道切符で手に入れた安住の地。そこは人の命が一山幾らの激安国家。
話が転がり出す油田火災が発生するまで47分。ダレずに引っ張る力技。

火災を消し止めるにはニトロの爆風を利用するしかない。しかし、ニトロの保存状態は最悪。一部は既に液状化。僅かな振動で大爆発しかねない劣化品。
ヘリによる空輸は無理。残る手段は陸路。トラック2台に分乗して道無き道を。報酬は金とパスポート。
地獄の終着駅…まで来て更に地獄行のチケットを買わねばならないズンドコ感が半端ありません。

タンジェリン・ドリームが奏でる音楽が葬送を盛り上げます。

北米版はデジブック仕様(かっちょいい!)で約2,300円。国内版…出ないだろうなあ。
※追記:出ました。ありがとうキングレコード!