仕事の都合で三軒茶屋に行くことがあります。
かつてこの地には3つの映画館がありました。
「三軒茶屋映画劇場」「三軒茶屋シネマ」そして、「三軒茶屋中央劇場」。
「三軒茶屋映画劇場」は昭和27年開業し、平成4年に閉館。
「三軒茶屋シネマ」は昭和30年開業。平成9年に改名するまでは「三軒茶屋東映」。ここで私は「ローズ」「ロッキー・ホラー・ショー」「ファントム・オブ・パラダイス」という濃い~3本立てを堪能しました。
今年7月、60年の歴史に幕。
「三軒茶屋シネマ」に先んじて昨年2月に閉館した「三軒茶屋中央劇場」は「三軒茶屋映画劇場」の姉妹館(昭和27年開業)。
私はこの劇場で映画ではなく、第七病棟の舞台を鑑賞しました。
「羊たちの沈黙」[作:山崎哲。劇団第七病棟]/1990年6月10日(三軒茶屋中央劇場:1階B列2番)
喫茶店のマスター、ユー(石橋蓮司)の元を訪れた元妻、リエ(緑魔子)。
かつて女優だったリエは、この2年を掛けて書き上げた脚本が認められ、ニューヨークで映画を撮ることになった、と報告。
そして、得意げにそのお話をユーに語って聞かせます。
ユーは(そして観客は)すぐに気づきます。今、リエが語っている話が「ボニーとクライド」であることに。
精神を病んだ妻が「自分が書いた」と信じて疑わないその話に我々はグイグイと引き込まれ…。
最後は劇場の映写機まで効果的に活用。古ぼけた映画館がノスタルジーを醸しだす力強く悲しい舞台でした。
現在、三軒茶屋に映画館はありません。