冒頭、草原をカメラが舐めていくと岩に腰かけて煙草を吸っている一人のガンマンが。
一目でリー・ヴァン・クリーフと分かる存在感。滴ってます。
「真昼の決闘」(1952年/フレッド・ジンネマン監督)
リー・ヴァン・クリーフは本作がデビュー作。悪役4人の一人ですが、台詞はなく、ただそこに居る(ハーモニカ吹いたりはしますが)だけの純脇役。
それでもジンネマンは映画のファーストカットにリーを選んだ。慧眼です。
もう一人、本作のヒロインとなるのが、主役である保安官とお礼参りにやってくる悪漢双方の元カノ、ケティ・フラド。
酒場を経営する女主人。誰にも頼らず自分の責任の範囲内で決断を重ねていく男前ヒロインですが、とにかく顔が濃い!(流石メキシコ人)
この人の私生活上の夫がアーネスト・ボーグナインって濃すぎだろ(笑)。
まあ、一応、ゲイリー・クーパーとグレイス・ケリーが正しい主役ではありますが、ゲイリーはただの枯れた爺さん(推定50歳ですが、もっと老けて見える)だし、グレイスはただ綺麗なだけだしで、あまり興味が持てません。
ラストのバッジを捨てるシーンだけは、“大衆”という“正しく醜くしたたか”な存在に対する静かな怒りと侮蔑が感じられて好印象でしたが、わたし的本作の主役はリー・ヴァン・クリーフとケティ・フラドです。
↑昔のポスターは風情があっていいなあ…。