デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ジョージ・C・スコット! チェンジリング(1979)

イメージ 3

ボール1個、テープ1本、車椅子1台。小道具ひとつで恐怖(ショックではない)はここまで表現できる。

ゴア無し、グロ無し、脅し無し。冷気漂う大人のホラー。

チェンジリング1980年/ピーター・メダック監督)

黒字に赤文字というオープニングで個人的に掴みはOKエクソシスト唯一の不満点はクレジットが白だった事)。

事故で妻子を同時に失った作曲家ジョン・ラッセルジョージ・C・スコット)は、ニューヨークの自宅を引き払い、友人のつてでシアトルへ。

そこで歴史保存会の管理下にある築1世紀はあろうかと言う屋敷を借りるのですが…。

 
イメージ 4

毎朝6時になると聞こえるドーン!ドーン!という何かを叩く音。

隠蔽された屋根裏部屋。捨てても戻ってくる娘の遺品。降霊会。その録音テープに残されたメッセージ。

 
イメージ 5

既に「ヘルハウス」「家」「オーメン公開後であり、これらの影響下にあるシーンも多々ありますが、全く“真似”を感じさせません。

むしろ、後世(特にJホラー)に与えた影響が大きく、“捨てても戻ってくる遺品”は仄暗い水の底からが、“井戸の中の死体”は「リング」が、“謎の音の原因”は「劇場版呪怨がそれぞれパクっています。

前半、丁寧に積み重ねた怪奇現象を伏線に、後半は推理ミステリー。そして終盤はオカルト・ホラーと一粒で3度美味しい変則構成。

舞台となったビクトリア朝風のゴシックマンションは概観が20万ドル掛けて作ったお面みたいなもので、内部はセットなのですが、ここでのアングルのとり方が絶妙。

時に天井から、時に床から。“見上げたら誰かが見下ろしているかも”な不安感。

 
イメージ 6

そして、ジョージ・C・スコット。色々と骨を折ってやっているのに中々満足してくれない霊に「くそったれが! これ以上どうしろって言うんだ!」と毒づくあたり、実に“らしい”キャラクターです。

「ハードコアの夜」もこの年。イヤー・オブ・スコットでした。

本格的スラッシャー/スプラッターの台頭期。本作とザ・フォッグが演出で魅せる最後の(大人の)ホラーだったのかもしれません。

 
イメージ 1←ランキング投票です。よろしければワンポチを。