
『自分が変われば世界が変わるというのは嘘だ。都合のいい嘘を押しつけられて、妥協させているだけだ。本当に世界を変えるって事を教えてやる…』
正しい嘘を粉砕するぼっちの真実。
青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ!
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。[北米版DVD-BOX]」(2013年4月-6月放送/吉村愛監督)
青春への呪詛を綴った作文を書いたために、生活指導担当教諭・平塚静の判断で、謎のサークル“奉仕部”に強制入部させられた“ぼっちの鉄人”比企谷八幡(ヒッキー)。
奉仕部には、才色兼備な帰国子女であったために受けた妬み・嫉みのいやがらせを全て実力で薙ぎ払ってきた孤高のぼっち、雪ノ下雪乃が。

世界を変えようとする能動派ぼっち雪ノ下と、不信と猜疑心から全てを拒絶する諦観派ぼっち比企谷。
HAGANAIとは似て非なる“ぼっちの矜持”。
ここに最初の相談者であり、3人目の部員となる由比ヶ浜結衣が加わってトロイカ体制確立。
偶然集まった3人でしたが、この3人、ある事件に関する被害者と加害者と関係者でした。
よろず相談承り所である奉仕部には平塚の口利きで訪れる悩み多き若者が。
ヒッキーには友達がいないため、会話というシチュエーションは少なく、必然的にモノローグが多くなる訳ですが、この屈折振りが目から鱗の素晴らしさ。
学園祭の実行委員長をアシストするために委員会に入った雪乃でしたが、アシストどころか大半を抱え込まされる羽目に。
“皆仲良く”をモットーとするイケメン&リア充の葉山が助け舟的に「(自分も手伝うから君も)ちゃんと人を頼った方がいいよ」
実に正論です。しかし、ヒッキーの感想は違う。
『じゃあ、一人でやる事は悪い事なのか?
どうして今まで一人で頑張ってきていた人間が否定されなきゃいけないんだ?』
そうか、そういう見方もあるのか。そして、駄目押し。
『俺が楽できないのはこの際仕方がない。
けど、俺以外の誰かが楽をしているのは許せない』
一気に話の品格が落ちますが、この部分は大共感。

人間関係を信じても欲してもいないヒッキーにとって、集団に於ける自分の価値の向上などというモノサシは存在しません。
自らが汚れ役になることで、正論からは決して生まれ得ない解決法を導き出すヒッキー。ある意味彼はダークヒーローなのかもしれません。
勿論、タイトルに“ラブコメ”と謳っている以上、そちらの展開も疎かにはできません。
雪ノ下と由比ヶ浜がメインヒロイン…かと思いきや、途中から物凄い飛び道具が。
戸塚彩加。テニス部部長の美少年。華奢で白くて可愛くて。どう見ても女。

「はぁちぃまぁん!」と寄ってくる戸塚にヒッキーも強烈に異性(?)を意識。
『これは…恋だ!』(おいおい)
中二病からの腐れ縁、材木座義輝もなかなかのキャラ立ち。中の人は檜山修之氏ですが、もうこういう役(初代斑目@げんしけん、猿投山渦@キルラキル)演らせたら独壇場ですね。

北米版DVD-BOXは全13話を3枚に収録して3,700円前後。
春からは第2期「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」が放送予定。愉しみです。