ロマン・ポランスキーをして「この作品でポーランド映画の全てが始まった」と言わしめたワイダのデビュー作にして“抵抗三部作”の1作目。
「世代」(1955年/アンジェイ・ワイダ監督)
日本での公開は1981年。実に28年もの間、塩漬けにされてきた不遇の作品です。
ナチス占領下のポーランド。職にも就かず、仲間と遊んでいた若者スタフ(タデウシュ・ウォムニツキ)。
ちょっとした英雄気取りでドイツ軍の石炭輸送列車から石炭を盗もうとしますが、問答無用で仲間が射殺され、自らも軽傷を。
この事件を機に地下組織とかかわっていくスタフ。
ポーランドの反ナチ組織は大きく分けて3つあったようです。
労働者中心の人民軍、ブルジョア中心の市民軍、そしてユダヤ人。
スタフが傾倒していくのは人民軍、スタフが働いている木工職人の工場は市民軍支援者(資金と武器の隠し場所を提供している)、そして、終盤に起きるのがユダヤ人によるワルシャワ・ゲットー蜂起。
この蜂起と鎮圧の黒煙を背景に主人公たちが集まる構図(しかも場所が遊園地)が印象的。

ナチに追い詰められた仲間のひとりがらせん階段から身を投げて自決する、その様を真下から捉えたカットの絶望感。
全体的にこなれていない感が強いですが、こういうアングルの取り方に才を感じます。
人民軍の細胞キャップである少女ドロタ(ウルシュラ・モドジニスカ)がゲシュタポに連行されるのを成す術も無く見送るスタフ。
そのスタフの元に新たに集まってくる同志たち。そう、まだ希望はある。
正に“俺たちの戦いはこれからだ”エンドです。
(視点を市民軍に移して「地下水道」につづく)