デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ヒーローはホームセンターにいる。 イコライザー

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『君はなりたいものになれるんだよ』
I think you can be anything you wanna be.

『あなたの世界ではそうかも。でも私の世界ではそんな事は起こらない』
Maybe in your world,Robert. Doesn't happen that way in mine.

『なら、世界を変えろ』
Change your world.

なりたい自分になる。「アイアン・ジャイアント」でも繰り返し語られたモチーフ。

この会話はこの少し前に主人公の口から発せられた言葉を枕にしています。

『老人は老人、魚は魚…』
The old man's gotta be the old man. Fish gotta be the fish.)

『人は自分以外のものにはなれない。この世界ではね。だろ?』
Gotta be who you are in this world, right?

老人と海」の老人の格闘は徒労ではない。もう人生も終りだと思った時に敵と呼べるものに出会い、サメに喰い散らかされる魚に自分を重ねて(魚を逃がすのではなくサメと)戦うことを決意した。老人は漁師であって魚ではないのだから。

更にこの台詞は本編冒頭に引用されるマーク・トウェインの言葉とも繋がっています。

『人生で最も大切な2つの日、それはあなたが生まれた日と、なぜ生まれてきたのかを悟った日』
The two most important days in your life are the day you were born and the day you find out why.

なるべき自分はあるべき自分。その意味を見出した男の物語です。

イコライザー

2014年/アントワーン・フークワ監督)


昨日の「ジョン・ウィック」同様、履歴書に書けない過去と特技を持った男が、ロシアン・マフィアをささらもさらにするお話です。

ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)はホームセンターで働く“静かな男”。常に同僚を気にかける気配りの人。不眠症なので、夜はテイーバック持参で近くのダイナーに出向いて本を読む日々。

 
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読んでいたのは「老人と海」、そして騎士無き時代の騎士の話「ラ・マンチャの男

このダイナーで出会った少女娼婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)がロシアン・マフィアに暴力的支配を受けている事を知ったマッコールは封印していた能力を解き放ち…。

デジャヴ満開な設定(笑)。「ジョン・ウィック」は静かな生活を侵害されたパーソナルな怒りに端を発していましたが、マッコールは義侠心に火がつく形で自ら揉め事に介入していきます。

 
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売春組織瞬間壊滅。しかしそこはロシアンマフィアの出先機関に過ぎず…。

大きな違いはこの動機と得物。ホームセンターの商品がマッコールの武器。コーク・スクリュー、ネイル・ガン、ハンマーなどなど。智恵とトンチが効いています。


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マッコールにとってホームセンターは武器弾薬庫。

共通しているのは、主人公が“冗談じゃなく強い”という事。特にマッコールはあまりの強さ(ほとんど改造人間)故、能力開放の瞬間(お話前半)が盛り上がりのピークで完全な“出オチ”になっています。

面白く爽快ではあるのですが、132分を乗り切るのはちとしんどいペース配分でした。

色々と難はあつても「ジョン・ウィック」の方が個人的には(偏差値貧乏で)好みではあります。


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