アンソニー・パーキンスが主演ということ以外、視界の果てまで見所のないサイコサスペンス。
「サイコXX」(1970年/カーティス・ハリントン監督)
アラン(アンソニー・パーキンス)くんが夜、目を覚ますとリビングが火事。父が炎に包まれてウェルダン。
半狂乱の姉が顔面大やけど、アランくんはショックで目が見えなくなり精神病院へ。
故意か過失か暖炉のそばにペンキ缶が置かれていて、これに引火したのが原因らしい。
眼自体に異常のない(目が見えないのは精神的なもの)アランくんは姉さんに付き添われて退院。懐かしの我が家へ。
姉の収入だけでは暮らしが立ち行かないので、部屋貸しをすることに。やってきた不気味な学生に警戒心剥き出しのアラン。
『彼はおかしい。この家を乗っ取る気なのかも。いや、実は存在しないのではないか』
アラン君が全盲ではなくもやらっと見える程度の視界不良ってのがミソ。疑心暗鬼に駆られたアランくんは…。
オチはすぐバレちゃうわ、父と息子の確執とか、父と娘の溺愛関係とか、父の学会業績とか、もちっと詳しく説明してくれないと話が見えない箇所をまるっとスルーしちゃうわで、とにかく段取りが悪い。
それでも何となく観てしまうのはひとえにアンソニー・パーキンスの存在感故。
サイコから10年。神経症的な演技に磨きのかかったアンソニーくんの面目躍如作ではありました。