
『馬鹿でいい。俺はこの町で生きる人を応援し続ける。感動を取り戻す。ここで生きていくしかない人たちも、これからここで生きていく子供たちも、皆が笑って生きられる町を取り戻す。俺はサブイボマスクだ』
ベタでクサくて予定調和…の何が悪い。王道は廃れないから王道なのだ。
“全部が勝手にオーガニック”で“甘い物はキットカットとガリガリくんしか売っていない”地方都市、道半町(みちなかばまち)。
若者は都会に流れ、商店街は隣町のショッピングモールに喰われてシャッター通り。
そんな中、地元に元気を取り戻そうと“1人感動ライブ”を開いて奮闘中の男、春雄(ファンキー加藤)。しかし、聴いてくれるのは自閉症の幼馴染、権助(小池徹平)とお迎え間近な年寄り数人。

努力も熱意も空回り。天啓を与えてくれたのは亡き父。父は商店街プロレスのヒーロー、サブイボマスクとして地元に笑顔を届けていました。
『心が動いて感動すれば何だってできる! 皆、笑ってるか?!』

『人を笑顔にさせるのはなかなか大変だぞ。どんなに苦しくても辛いことがあっても、まず自分が笑顔でなくちゃ皆は笑わない。できるか?』

父・サブイボマスクを演じているのは武藤敬司。いい味出しています。
父のマスクを継承した春雄は“謎のストリートシンガー/サブイボマスク”としてライブを再開。この動画がネットで受け、商店街には徐々に活気が戻ってきますが…。
ってまあ後は予想通り想定内の展開(それでも泣ける)。

自閉症の権助を演じた小池徹平が「ギルバート・グレイプ」のディカプリオと肩を並べる素晴らしさ。
変化を望まない者もいます。いとうあさこ演じる生活保護で娘を喰わせている早苗の存在はいいバランスです。
商店街復興と言えば内村光良の「ピーナッツ」がありますが、あれもきっちり笑って泣ける王道映画でした。
王道を笑ってはいけません。