『Oh No no No no No no No…』
諌めるように、抗うように、笑いながら泣くメイド。
本作のMVPは間違いなく彼女です。
ニューヨークで暮らすプロカメラマン、クリス(ダニエル・カルーヤ)は朝から気分がどんよりどよどよ。
今日は恋人ローズの実家に行って両親と会う日…なのだが、ローズはまだ両親に打ち明けていない。
恋人が黒人であるということを。
『大丈夫よ。パパは変わり者だけど差別主義者じゃないわ』
その言葉通り、ローズの両親、神経外科医の父とサイコセラピストの母から手厚い歓待を受けるクリス。
何も問題は無い。執拗に禁煙を薦められる事と黒人管理人と黒人メイドの挙動が不審な事以外。
翌日は亡くなったローズの祖父の友人たちが一堂に会するホーム・パーティ。ここでもクリスは人気者。羨望の的と言っていい歓迎ぶり。
ひとり黒人がいたので話しかけたが、こいつも何か変だ。いや、この男、以前どこかで…。
さて、ここからどう転がるのか。
無言で盛り上がるビンゴ大会。怖すぎる。
「アカデミー賞」「LA批評家協会賞」「放送映画批評家協会賞」で脚本賞を受賞しているだけあって、暗喩と隠喩がてんこ盛り。細かい仕掛けが盛りだくさん。
2回目3回目で「おお、ここはそういう事だったのか!」と気づかされる仕組みになっています。
単なるコメディ・リリーフだと思っていたクリスの友人ロッド(リルレル・ハウリー)が超使える奴で、もう実質主役なんじゃないかという大活躍を見せます(MTVムービーアワード/コメディ演技賞受賞)。
おまけ
本作モノクロポスターと元ネタとなった1995年の仏映画「憎しみ」のポスター