『これで私たちはメン・イン・ブラックよ』
『“男(メン)”イン・ブラック?』
『その話はよして。私も反対はしたけど。彼らは変えようとしない。愛着がある名なのね』
(Don't. Don't start. I've had the conversation.
They didn't seem to be able to let it go.
It's a process. Attachment issue, I think.)
エンタメにおける性差別の嫌味はこのくらいで収めておくのが大人の対応だと思います。
「メン・イン・ブラック:インターナショナル」(2019年/F・ゲイリー・グレイ監督)
地球上に多数潜んでいるエイリアンの存在を隠蔽し、犯罪を犯したエイリアンを駆除する秘密組織MIBの活躍を描くシリーズ最新作。
前作から7年(1作目から数えて22年)を経て作られた続編です(リブートではない)。
一部を除いてメンバーも刷新。今回の主役はポリコレの以下略。
MIBに憧れる(そして宇宙の真理を知りたいと願っている)頭脳明晰・身体能力抜群な黒人女性モリー(テッサ・トンプソン)がMIBの本部を探り当てて押しかけリクルート。
ニューラライザーで記憶を消されそうになりますが、あれこれアピールしまくって内定ゲット。
訓練を経て見習い配属。コードネームはエージェントM。
相棒になるのは、かつて知恵と銃ひとつで世界を救った男、エージェントH(クリス・ヘムズワース)。
このシリーズ、血気盛んだがやたら軽い新人の黒人(ウィル・スミス)と、寡黙で融通の利かないベテラン白人(トミー・リー・ジョーンズ)という取り合わせが面白かったのですが、今回はやたら軽くてチャラいベテラン白人男性と、真面目で頭はキレる(経験不足以外とりたててマイナスポイントがない)黒人女性なので取り合わせの妙が発揮されず安いコメディに堕してしまったのが実に残念。
お笑い要素が入っても「ナイト&デイ」くらいキメてくれたら…。
ベテランとしてエージェントHigh T(リーアム・ニーソン)が配されているので、クリスとリーアムのコンビでいいじゃん、とも思いますがそれはポリコレが許しません。
とは言え、普段Z級ホラーやVシネを見ている目からすると、予算ジャブジャブ、CG使いたい放題なハリウッド超大作(製作費は前作の半分ですが)はそれだけで目の保養。
観終わった瞬間、スカッと全部忘れてしまいますが、いいんですよ、それで。
シリーズに思い入れがあるわけでもない分、逆に楽しめたのかもしれません。
余談ですが、興行成績は前作の半分だったそうで、製作費半減の帳尻はちゃんと合っておりました。
前作から引き続きエージェントO(Mの採用責任者)役でエマ・トンプソンが。
この人、本当に守備範囲が広く、リーアムと並んで「いるだけで安心」なお方です。
ただ、聞いた話だと、本作の当初脚本は移民問題への提起が含まれており、時事問題に沿うエッジの効いた内容であったそうです。
それを製作総指揮スピルバーグの腹心である製作のウォルター・F・パークスが書き直しまくって(撮影中も手を加え続け)おととい栓抜いたコーラみたいなパンチのない内容になったそうで(つまり裏で糸を引いていたのはスピルバーグって事か!?)。
もしそのままの脚本(クリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンもその脚本を気に入って役を受けた…らしい)であれば大金掛けた「コーンヘッズ」になったのでは?と思うとちと残念ではあります。
We are the Men in Black. …The Men *&* Women in Black!
(クライマックスのクリスの啖呵)
★エマ・トンプソンを堪能したい方はこちらを。
★凄腕エージェントと巻き込まれ一般人の良く出来たラブ・アクションが観たい方はこちら。
★歯止めの効かなくなったポリコレの終着駅はこちら。
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