黒味に白抜きの地味なクレジットに被る音楽を聴いた瞬間、『あ、これ当りじゃね?』。
「スモールタウン マーダー ソングス」
(2010年/エド・ガス=ドネリー監督)
カナダの寒村。キリスト教メノナイト(メノー派:非暴力、暴力を使わない抵抗と融和および平和主義が信条)を信仰する田舎町。
事件らしい事件などついぞ起こった事のないこの町の湖のほとりで女性の遺体が発見された。
担当する地元警察のウォルター(ピーター・ストーメア)は内なる暴力の衝動と葛藤しておりました(過去に業務遂行上、ちょっとやらかしてしまった事を匂わせる描写あり)。
遺体の第一発見者はかつての恋人・リタ(分かれた原因はウォルターの暴力性にあったっぽい)。
事件そのものはありふれた衝動殺人。トリックも意外性もありません。
これは生まれ変わろうとする男に課せられた贖罪と試煉の物語。
章の区切りの様なタイミングで挿入されるキリスト教の訓えが道標のよう。
全編を彩る音楽が素晴らしい(この曲に騙されていると言ってもいい)。
カナダのインディーズバンド、ブルース・ペニンシュラ(Bruce Peninsula)の手によるものらしいのですが、フォークのようなカントリーのような。
強いてカテゴライズすれば「土着のゴスペル」。
高揚と鎮静を同時に実現する不思議な音楽です(サントラ買おうかな…)。