『私たちは自由に生きてきた。黒人と白人の結婚がまだ30州で禁止され、20州で嫌悪されていた頃に結婚したわ。アパートを探すくらい何でもない!』
30州で禁止、20州で嫌悪という事は祝福してくれた州は全米見渡してひとつもなかった、という事ですね。
「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」
(2014年/リチャード・ロンクレイン監督)
原題は「5 Flights Up」。
航空便のフライトと同じですが、ここでは階と階を繋ぐ階段の事。眺めはいいけど5階までエレベーター無し。昇りも降りも膝栗毛。
そんなアパートに40年。寄る年波で色々キツくなってきた老夫婦。
「最高の人生のはじめ方」のモーガン・フリーマンと「最高の人生のつくり方」のダイアン・キートン。
余談ですが「最高の人生の見つけ方」(2007)が当たって以降、この手の邦題増えましたね。
「最高の家族の見つけかた」「最高の親友の見つけ方」「最高の人生の選び方」…。もう何がなにやら(笑)。
その昔「愛と〇〇の××」というフレーズが流行ったのを思い出します。お話は、階段オンリーのアパート売却と、エレベーター付きの新居購入に関わる喧噪と狂騒。
ここに、二人の若き日がカットインしてくる構成。
何が起きるでもないのですが、こういうの弱いです。
どっちも死にませんが、ちょっと「幸せなひとりぼっち」に近い手触り(それは褒めすぎか)。
いつか階段が昇れなくなる日はやって来ます(他人ごとではありません。私なんか膝が笑い上戸で医者から階段は使うなと言われています)。
それでも今は…。
振り回されるのは嫌だ。それが単なる問題の先送りだとしても他人に下駄を預けるのは納得がいかない。決めるのは自分。
視点を変えれば“とんだお騒がせ夫婦”って事になってしまうかもしれませんが、いいじゃないですか。歳喰ったらこれくらいの我儘は許してもらいたいものです。
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