男二人(推定60代×40代)の人生打ち明け話。
それだけと言えばそれだけ。飲み屋で知り合ったおっさん同士の意気投合と何ら変わりません。
違うのは、ひとりは自殺志願者だと言う事、もうひとりがちょっと違法な取引の最中だと言う事。
そして場所がミシガン湖のど真ん中で現在遭難中だと言う事。
「エマージェンシー 見知らぬ2人」
(2014年/ギル・ケイツ・ジュニア監督)
父を亡くし、母がアルツハイマーのミッチ(ショーン・アスティン)は父の遺品のボートでミシガン湖へ。
景気よくすっ飛ばしていたら、水面に浮かぶ障害物と激突。見渡せば小型飛行機の残骸が点々と…。
生存者1名。何とかボートに引き上げたものの相手は警戒感満開。
おいおい、助けてやったのにそれはないだろう。まあ、とりあえずそのナイフは下して。
困ったことに残骸に衝突した衝撃でスクリュー破損。身動きとれず。
更にボートには無線無し、携帯無し、磁石無し。完全に遭難。
湖で遭難…日本人的には違和感があるかもしれませんがミシガン湖です。
インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミシガン州に接する五大湖のひとつ。
面積58,016㎢。琵琶湖(669㎢)の86.7倍、九州(36,750㎢)と四国(18,800㎢)を足してもまだ足りません。
ウィスコンシンはミシガンの対岸にありますが、水平線の彼方にあるため拝むことすら叶いません。
という訳で間違いなく遭難。ま、こんなところで出会ったのも何かの縁。見知らぬ2人が出会ったら最初の会話は勿論、
次に気になるのは
『無線も携帯も持たずにこんなところへ何しに来た?』
『何でこんなところで事故った?』
ぽつりぽつりと重い口が語り始める自分の境遇。家族の事、仕事の事。
まるでサバイバルスリラーみたいな売り口上になっていますが、全く違います。原題は「THE SURFACE」。ただの「水面」です。
未知の巨大生物も出てきませんし、ハリケーンがやって来るとかもありません(ポスターの絵柄は滅茶苦茶“盛って”います。因みに実話ベース…だそうです)。
2人の会話も特段波乱万丈という訳でもなく。
ただ、聞き入ってしまいます。
こういう話に「ふんふん、それで?」と相槌を打てるのはそこそこ歳喰った人。
若い人や妙なエンターテイメントを期待している人には不向き(退屈)かもしれません。
★ご参考
遭難×見知らぬ2人でサバイバルと言えば「太平洋の地獄」ですが、恥ずかしながらレビューを上げていないので、2人組×山でプチ遭難×実話という線でこちらを。
★おっともう1本、漂流に始まり漂流に終わるこちらもどうぞ。
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★5月26日の出来事【ドラキュラ発刊/ピーター・カッシング誕生】
1897年の今日、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』が発刊されました。
同時にピーター・カッシングの誕生日でもあります(1913年)。
どう考えても「吸血鬼ドラキュラ」(1958年)に繋げる流れですが、繋ぎません(笑)。
ドラキュラ映画で1本選ぶならこれでしょう。
ピーター・カッシング派の方には後のドラキュラ役者クリストファー・リーと共演したこちらを。
ついでなので残念無双なガックリ作になってしまったこちらも。