デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

持たざる者、食蜂が初めて手にした宝物。 とある科学の超電磁砲T ♯15 やくそく

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『ホントはね、3人一緒ならどこでもいい。
 駄目…かな?』

『まったく、相変わらず人の言う事を無視して自分の意見を押し通すわね。我儘力、高過ぎだぞ。ほんと、しょーがないんだから!』

御坂にあって食蜂にないもの。仲間、妹、想い人。

持たざる者、食蜂の手に初めて宝物が残りました。

とある科学の超電磁砲T/♯15・やくそく」

(2020年5月22日深夜BS11放送/佐山聖子演出)


本題入る前にちょっと時計を逆回転。

『わたくしこと上条当麻は不幸な人間だ。この大覇星祭の7日間を振り返ってみても、それは分かる。初日のとんでもない問題が片付いた二日目以降にしたって(中略)御坂美琴に強引にフォークダンスを踊らされている最中に、白井黒子に後頭部をドロップキックされたりと、なんだかもう色々とボロボロだったのだ』

とある魔術の禁書目録Ⅱ」の大覇星祭編における上条先生の独白です。

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このシーン、9年前に予告されていたんですね(左:禁書Ⅱ、右:電磁砲T)。


因みにここで言う初日のとんでもない問題というのは、御坂美琴がレベル6に強制進化させられる過程で超新星となって学園都市を消し飛ばそうとした事ではなく、ローマ正教のシスター、リドヴィア・ロレンツェッティと運び屋オリアナ・トムスンが霊装「刺突杭剣(スタブソード)」を使って学園都市を霊的に支配しようとしていた事を指します。

つまり学園都市は大覇星祭初日に「宗教的陥落」、二日目に「物理的消滅」という魔術サイド・科学サイド双方から破滅のサンドイッチ・ラリアットを見舞われていたわけで。

上条さんは、この両方を阻止しながら姫神を落とし、美琴を落とし…。

絶倫だな、上条当麻

さて、その大覇星祭編、残るアフターフォローは警策看取の過去そして現在。

研究施設で実験体ドリーの遊び相手を務める事になった幼い日の警策

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いつしか友情を育むに至りますが、ドリーに過度の薬物が投与されている事を知り憤慨。

実験中止を訴えたものの、あえなく拘束。数か月に及ぶ監禁生活を強いられますが、ある日突然ロック解除・見張り消失。

食蜂祈操による研究施設乗っ取りが原因ですが、そんな事は知る由もなく。

長じてドリーを実験動物としてこねくり回し、死に至らしめた責任者たる統括理事会に復讐すべく破壊(暗殺)活動に及びますが失敗。その身柄を預かったのが木原幻生。

『学園都市を跡形もなく消し飛ばせる力、欲しくはないかね?』

そして現在。食蜂が倒した木原の頭の中を覗いて(御坂妹に打ち込んだウイルスのワクチン情報以外に)分かったことがふたつ。

  1. ドリーが言っていたたったひとりの友達・みーちゃんは警策看取。
  2. ドリーには対となる妹と言うべきクローンがおり、ドリーの意識と記憶を共有している。


ドリーはシスターズのプロトタイプであると同時にミサカネットワークのプロトタイプでもあったんですね。

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黒子に拘束され下水道に放置された警策を食蜂祈操が回収。連れだって木原幻生が管理しているもうひとりのドリーの元へ。

それはドリーとは別の個体。しかし、間違いなく再会。

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食蜂もドリーとの時間を紡いでいますが、あくまで自分を警策であると誤認させての作為的な接触。二人の邂逅の輪の中に入れないもどかしさ。

たまらず背を向ける食蜂に…

『待って。操祈ちゃん…でしょ?』

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『ごめんなさい!騙し続けてごめんなさい。あいつらの嘘に気づけなくてごめんなさい。あなたたちの思い出に勝手に割り込んでごめんなさい』

もし、自分がみーちゃんの事をちゃんと調べていれば、二人を会わせることもできたし、ドリーを死なせることもなかった。この償いはなんでも…。

『じゃあ、海に連れて行って…』

同じころ、御坂妹は収容された病院で入院中に大覇星祭が閉会してしまった事を美琴の前で愚痴っておりました。

『そう拗ねないの。今度どっか連れて行ってあげるわよ。どこ行きたい?』

『海…』

『海?シーズン終わっちゃってるわよ』

『何故かは分かりませんが、大切な人との胸踊る約束が欲しくなりました…とミサカは不思議なデジャヴを覚えて感傷に浸ります』

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完全に繋がってはいなくとも、ドリーの気持ちは微かな残照となってシスターズのもとへ。

何と言う美しい締め括り。大覇星祭編、大団円です。

 

 

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