デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

極道を 組ごと潰す 仕掛人。人呼んで… 極潰し

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極道組織が経営する町工場・湘和製作所。ここの従業員の半数は売人かシャブ中。

勿論、流しているのは(吸い上げているのも)、親会社・酒井組。

工場の新参者・片桐圭介(竹内力)は酒井組に接近、シャブの売人を買って出て、粗悪なシャブを僅か1日で完売させる手並みを見せますが…。

「極潰し」(2014年/浅生マサヒロ監督)

 

片桐は海外のサイトを多重に噛ませて、発覚と同時にサイトごと消滅する自爆装置を仕込んだシャブの通販サイトを開設(ぶっとい指でちまちまプログラミングしている竹内力に激しい違和感-笑-)。

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キータッチも爽やかに。プログラマー・リキ。


親組織・坂東組の信用を勝ち取った酒井組は、2千万円分のシャブを回してもらいますが、この取引が警察に漏れ押収。

2千万円の穴を空けた酒井組(と片桐)は一気に窮地に…。

勿論、警察にチクッたのは片桐。この不祥事に乗じて坂東組組長・坂東(中野英雄)に接近した片桐は現金1800万円に酒井組の横領の証拠を添えて提出。全ての責任を酒井組に押し付けて酒井組を解散に追いこみます。

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片桐の標的は最初から坂東組。極道の道を歩んだ片桐の実兄(船木誠勝)と兄弟盃を交わしていながら、裏切った挙句、的にかけた坂東を組ごと潰す。

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…という竹内力が桑畑三十郎並みの知略を見せる異色の極道ものです。

元手は兄の保険金、隠れ蓑はブラック歓迎町金融。

片桐の危険な匂いに誘われて、刑事が、そして神奈川最大勢力の鹿島会総本部が接触を。

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勿論、全部綺麗に利用して準備万端。

変に引っ張らずに75分で決着。よくある主人公のために体を張って命を落とす健気な女とかがいないのもいい(そもそも竹内力の濡れ場って想像がつきません)。

タイトルCGとかも真面目に作っていて、全体的にVシネ特有の低解像度安っぽ画像ではないのも好印象。

関東最大組織に堅気の身分のままヘッドハンティングされて、極道界初のひとり内部監査組織になるという驚天動地のオチを見せますが、以後続編の話が無い(出オチやり逃げ)というのも実にいい(たらたら先細りしながら話が続くの嫌いなんです)。

思いつき一発企画もVシネの醍醐味です。


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★本日11月26日は鈴木則文監督(1933~2014)の誕生日。

鈴木監督と言えば一般的には「トラック野郎」シリーズであり「緋牡丹博徒」シリーズ(脚本)なのですが、私の中では「徳川セックス禁止令 色情大名」(1972)であり、「聖獣学園」(1974)であり、そして何と言っても、「堕靡泥の星 美少女狩り」(1979)なのですが、今日は文芸の香り漂うこの作品を。 

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