あがいても、あがいても。
うまく行かない。
運がないから。巡り合わせが悪いから。
何より自分がクズだから。
ツキに見放された破滅のループに自ら嵌りに行く男。香取慎吾は、そんな人間のイメージから最も遠い所にいる男…だったはずですが。
「凪待ち」(2018年/白石和彌監督)
ポスターにつけられたキャッチは「誰が殺したのか? なぜ殺したのか?」
このキャッチ考えた人は降格&減俸。
そんな推理ミステリーの要素どこにもありません。
舞台は宮城。背景にあるのは津波。
妻を助けられなかった事を今尚悔やみ続け、ステージ4の癌を抱えながら治療を拒み、海に出続けている老漁師(吉澤健)。
その娘(西田尚美)は夫のDVに苦しみ、離婚し故郷を捨て川崎に移り住んだものの「放射能がうつる」と差別され、子供は不登校に。
結局、リターンto故郷。
ついて来た内縁の夫(香取慎吾)は、ギャンブル依存症(競輪大好き)。
職場でいじめに遭っていた同僚(やはりギャンブル依存症。サラ金焦げ焦げ)を庇ったため、人間関係がもつれて同僚共々退職の憂き目に。
ひとつ歯車が狂うと何もかもが崩れていく…それは都会も田舎も同じ事。
香取くんが駄目スパイラルに嵌っていく短気で寡黙なやさぐれ男をいい感じに演じています(香取慎吾が目の演技をしようとは!)。
ガタイの大きさも存在の説得力に一役。
やっぱり役者は監督次第なんですねえ。特に伸びしろのある人は簡単に化けます。
香取くん、悪い事は言わない。一刻も早く三谷幸喜と縁を切れ。でないと、一生を三流馬鹿タレントとして棒に振る事になるぞ。
不運と絶望と破滅願望を煮〆ても、最後に希望は残る。白石和彌という監督さん、日本映画を背負う逸材かもしれません。
「仮面ライダーBlack」リブートも期待しております。
★ご参考…香取くん監督選び失敗例。
★白石監督の他作品はこちら。
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★本日5月10日は高橋伴明監督(1949~)の誕生日(おめでとうございます!)
本日は一般映画とピンク映画を1本ずつ。