『全く無茶ばかりしよる』
(Always the hard way, huh?)
チャック・ノリス映画に求めるものとは?
そんなもの決まっています。「チャック・ノリスが一杯観れる」
「デルタ・フォース2」(1990年/アーロン・ノリス監督)
サブタイに「THE COLOMBIAN CONNECTION」とある通り、コロンビアのコカイン帝国の王ラモン・コタ(ビリー・ドラゴ)とスコット・マッコイ大佐(チャック・ノリス)の半ば私闘などつき合い。
実話ベース&オールスターの前作「デルタ・フォース」(1986)から4年後の続編。
僅か4年ですが、その間、製作元のキャノンフイルムズは大激震。
87年、何をトチ狂ったかアートフィルム(「ゴダールのリア王」)に手を出し大失敗。
同年に製作した大作3本(「スーパーマンⅣ」「オーバー・ザ・トップ」「マスターズ/超空の覇者」)が大コケ。文字通り3タテ喰らう大惨敗。
89年には中心人物であったメナハム・ゴーラン(「デルタ・フォース」監督)がキャノンを去り、台所事情がさらに悪化。
とても前作のようなゴージャス超大作を作れる状況にはありませんでした。
実は当初のプロットはもう少しスケールの大きいものだったようなのですが、資金不足のキャノンはこれに手を出す事が出来ず、大幅に縮小された内容に。
1作目からの続投が決まっていたリー・マーヴィンは87年に死亡。
撮影中にはヘリコプター事故で5人のスタッフ(パイロット、スタントマン、カメラマン、撮影機材責任者、照明技術者)が死亡。
完成したフィルムもチャック・ノリスが「好きじゃない」と公言(監督のアーロン・ノリスってチャックの実弟なんですけどね)。
もう絵に描いたような「駄目になる時ってこんな感じよね」な作品なのですが、それがどうしたって言うんですか!?
オールスターにならなかったという事は「見せ場が全部チャック・ノリス」という事じゃないですか。
「ムーンレイカー」ばりの空中肉弾戦、「クリフハンガー」ばりの絶壁踏破、「燃えよドラゴン」を思わせる連続乱取りと「そのまんま」な決斗シーン。
特に連続乱取りシーンはお話と全く関係ないのに中々な見せ場。チャックの投・打・極を堪能できます。
戦闘ヘリがたった1機(敵の分と合わせても2機)しか用意できなかったのは悔やまれますが、爆薬はそれなりに使っていますし、カーチェイスも見応えがありました。
潰れかけた会社にこれ以上のものを要求するのはただのひとでなしです。
で、この翌年(1991年)、シリーズ3作目「デルタ・フォース3」が作られています。
遂にチャック・ノリスも降りて主演はジョン・カサヴェテスの息子、ニック・カサヴェテスに。
共演にチャックの長男マイク・ノリス。監督は「アメリカン忍者」のサム・ファーステンバーグで倒産の坂を転げ落ちるキャノンのあがきを見るようです。
未見ですが、ちょっと観たい。
★キャノンに金があった前作のおさらいはこちら。
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