デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

場末とゾンビは相思相愛。 バトルロワイヤル・オブ・ザ・デッド

場末【basue】…本来の意味は「都心/繁華街の中心地から外れた場所」という単純に距離を示す言葉ですが、何故か漢字変換するとある種の「凄み」が加わります。

「うらぶれた」とか「おちぶれた」みたいな。

似たような意味合いを持っているのが「B級」

本来は製作費の高低だけを示す指標でしたが、今は意味の幅がぐーんと広くなっています。

「金はなくとも心は錦」「金がないから創意工夫」という誉め言葉から「トンデモ」「貧乏」といった貶し言葉まで。

この「場末」「B級」と最も相性の良い単語は何か。

決まってるじゃないですか。「ゾンビ」ですよ。

「バトルロワイヤル・オブ・ザ・デッド」(2021年/マックス・マーティーニ監督)

原題は「THE MANSON BROTHERS MIDNIGHT ZOMBIE MASSACRE」。志の高さは申し分ありません。

かつては人気者としてメジャー団体で活躍していたプロレスラー「マンソン・ブラザーズ」。

色々あって落ちぶれて今は地方の会場でお手軽な(しかしある意味プロの)試合を続けておりました。

控室では『今日(の筋書き)はどうする?』『タッチに失敗して乱闘でノーコンテスト』『了解』。

試合開始時にはベロベロに酔っぱらったレフェリーが『で、今日の筋書きは?』


プロの世界は阿吽の呼吸です。

勝手に筋書きを変える奴にはサブミッションでお仕置きを!(うっかり折っちまったが)


この日の試合は大盛り上がりの遺恨試合になって、1週間後のハロウィンに再戦が決定。


相手のひとりは足首負傷(多分折れてる)。代わりに謎のパートナーXとして大物招聘。

かつてのライバルで今でもメジャーで活躍する人気レスラーをブッキング。これは再び陽の目を見るチャンスだ。

しかし、当日は外出自粛レベルの巨大台風。それでも「お好きな」方々は会場に。

一方、中国製の粗悪な成長ホルモンを使っていたレスラー仲間が本当にあちこち増強されてゾンビ化(すげーなメイド・イン・チャイナ)。

この言葉に嘘はなかった…。


あっという間に仲間も観客もゾンビになって大乱闘バトルロワイヤル。外は台風で逃げ場無し。リングにはデスマッチ用のケージが設置されておりましたが、会場自体が巨大なケージ。

ゾンビ×プロレスという組み合わせは申し分無しなのですが、折角プロレスに材を取っているのに殴る蹴る主体でプロレスの大技が炸裂しないのが大いに不満。

ブレーンバスターやバックドロップ、ジャーマンをスローで決めるだけで大迫力になるのに。

マンソン・ブラザーズもコンビ(文字通り兄弟)なんだから、もっとコンビ技決めてくれないと(サンドイッチ・ラリアットとかでいいから)。

人気を博していた時代のキメ技・必殺技が無いと言うのも痛い。

一番のカックリは試合前に謎のジプシー婆さんからもらった魔術(SPOOKY MAGIC)が込められたマスクの効能が良く分からなかった事(そもそも着用シーンがほとんどない)。


素材はいいのに色々と勿体ない仕上がりでございました。

因みに本作は「人生負け組」の親父が息子に「THE MANSON BROTHERS MIDNIGHT ZOMBIE MASSACRE」というペーパーバックコミックを読み聞かせるという体をとっており、その意味ではクリープショーの親戚筋に当たると言えます。


★ご参考

★場末deゾンビと言えば…

 

 

 

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★本日4月7日は製作者・田中友幸氏(1910~1997)の命日。

このお方がいなかったら今の(特に海外における)日本映画の地位はなかったんじゃないかとすら思える重要人物。

関わった作品は数知れずですが、本日は田中友幸と日本の特撮/ロボットアニメにリスペクトを捧げまくったこちらを。