デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

エクソシスト2

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『はうあ! こ、これはセンサラウンド!』

折角「エクソシスト」に触れたのでシリーズを俯瞰しておきましょう。

 

エクソシスト2」

(1977年/ジョン・ブアマン監督)


エクソシスト・シリーズはどれも「前作なんか知ったこっちゃねぇ!」とばかりに作家性を際立たせておりとても好感が持てます(除く「ビギニング」)。

ブアマンは「前作の即物的な恐怖になんか興味ねえ!」とばかりにいきなり人間の中の善と悪という観念世界に突っ込んでいきます。

どちらかと言うとボルテックス4という未来世界で生と死を論じた「未来惑星ザルドス」の姉妹編といった趣です。

特筆すべきはエンニオ・モリコーネの音楽。

日本公開版のオープニングに使われたマカロニ魂炸裂のテーマといい、美しすぎるリーガンのテーマといい、これも日本公開版のエンディングで使われたパズズのテーマ(正確な曲名は「マジック&エクスタシー」)といい、素晴らしすぎます。

飛行機が離陸するという、ただそれだけのシーンも、モリコーネの音楽が被るだけでなんとも邪まかつ不吉な画になるから不思議です。

劇場公開時、ラストのイナゴの大群襲撃シーンがセンサラウンド(重低音用スピーカーを大量に並べて劇場全体を振動させる)方式になっていて、びっくらこきました。

神と悪魔ではなく、人間の中の膳と悪、それを象徴するイナゴの大群、そのイナゴをナウシカのように鎮めていくリーガン、実に見事な構図だと思います。