アニメの話が長く続いてしまったので、今週は贔屓のホラークラシックを紹介しようと思います。過去に取り上げた作品もありますが、できるだけ違った視点で書きますのでご容赦ください。
悩んだ末、1本目に選んだのは、
「エクソシスト2」
(1977年/ジョン・ブアマン監督)
一般的には“トンデモSFホラー”って事になっていると思いますが、大好きなんです。
確かに、光が明滅するだけで深層心理を共有できる(手に手を取って夢の世界に入っていける)シンクロナイザーなんていうマシンが出てきた段階で“何じゃそりゃそりゃ”ですし、本来悪魔と戦うべきラモント神父(リチャード・バートン)が真っ先にパズズに魅入られちゃうのも“そりゃ一体どーゆー事じゃろかいと”ではあります。
でもまあ、いいじゃないですか、そんなことは。
ジョン・ブアマンのシュールな語り口と1作目に負けず劣らず印象的なエンニオ・モリコーネの音楽が、観客を精神の旅にいざなってくれます。
実は、現在流通しているBD/DVD(以下まとめてBD版)は日本公開版(以下劇場版)とかなり異なる内容になっています。
BD版のOPはゆったりスローモーなメロディですが、劇場版はめっちゃアップテンポ。鞭の効果音とかも入って「マカロニかよ⁉」な出だしになっています。
EDもBD版は静かなリーガンのテーマで締められていますが、劇場版は景気がいいにも程があるパズズのテーマ(Magic&Ecstasy)。
そして何より異なるのがクライマックス!
これは劇場で観た人以外は分からないと思いますが、イナゴの大群がマクニール家に突入した瞬間、センサラウンドになったんです。
センサラウンドと聞いて「おお!」と思った人はOVER50ですね、多分。
これは超低周波を発生させる特殊スピーカー(100kg×16個)を使って、観客に振動を体感させるギミック。
「大地震」(1974)を皮切りに、「ミッドウェイ」(1976)、「ジェット・ローラー・コースター」(1977)、「宇宙空母ギャラクティカ」(1978)で導入されました。
上映前の告知は一切無し(クライマックスに衝撃が待っている的な予告は上映冒頭に字幕表示されましたが)。そもそもセンサラウンドはユニバーサルが開発したもの。ワーナー映画である本作に使用されるとは夢にも。
それが、イナゴが窓ガラス叩き割った瞬間にドーン!
『な、何だ、何が起こった?!』
リーガンの鼻の下にでっかいイナゴが髭のように張り付いている、本来なら爆笑すべきシーンに突っ込むゆとりもなく、ひじ掛け握りしめておりました。
これって封切館全館で対応していたのでしょうか。私が観たのは横浜ピカデリー。
今のお洒落な劇場からはほど遠いですが、実に映画館らしい映画館でした。現在はマンション。何か墓標に見えます。
因みにBD版に入っているエピローグ(リーガンとラモント神父がルイーズ・フレッチャー演じるタスキン博士に別れを告げて去っていく)は劇場版にはありません。
イナゴの大群を制圧したリーガンのストップモーションでエンドです。
劇場版を観たい方は中古もしくはレンタル落ちのVHSをご購入ください(センサラウンドにはなりませんが)。
★前回レビューはこちら。