『なんで戻ってきた?』
『・・ビー玉を取りに』
『(ビー玉を)賭けるか?』
やっぱり、男が最期に手にするのは、酒と銃とおもちゃ(この場合、ビー玉)なんですねえ。
「狼は天使の匂い」(1972年/ルネ・クレマン監督)
“友よ、僕たちは就寝時間が来たのに眠るのを嫌がってむずがっている年老いた子供に過ぎない”というルイス・キャロルの言葉に導かれるフレンチ・ノワール。
ちょいとワケありで命を狙われている男(ジャン=ルイ・トランティニァン)が飛び込んだのは、チャーリー(ロバート・ライアン)を家長とする擬似家族な犯罪グループ。
“食い物が美味く見える映画は傑作”の法則発動。シュガー(レア・マッセリ)の作るタルトが実に・・。
ロバート・ライアン演じるチャーリーは「東京暗黒街・竹の家」のサンディのその後のよう。ミア・ファーローの妹ティサ・ファーローが無垢で清楚で粗野で健気で(この人の代表作はこれと「サンゲリア」。ナイスでしょ?)。
ルネ・クレマンとかコスタ・ガブラスとか往年の巨匠の作品には「嗚呼、俺今“映画”観てるんだなぁ」という恍惚的な満足感があります。
アジトとなっていた軽食屋、“休業中”の看板が剥がれて店名が露わになった時、ちょっと泣きそうになりました。
にしても良く思いつきましたね、この邦題。原作(Black Friday)とも原題(兎は野を駆ける)とも英題(And Hope To Die)とも違うロマン溢るる名タイトルだと思います。まだこの頃のFOXにはセンスある社員がいたんですねえ。
※参考:「国辱?トンデモ?(どっちでもない!)東京暗黒街 竹の家」
→2009年9月9日
「ジャン・ルイ・トランティニャンかっちょええ! Z」
→2009年7月3日