昭和29年の東京がシネマスコープの画面に活写された奇跡の映画です。
「東京暗黒街 竹の家」(1955年/サミュエル・フラー監督)
確かに全編「ありえない日本」の嵐です。
セットの畳はゴザだし、日本人はやたら「あ、そう」を繰り返すし、そもそも「竹の家(House of Bamboo)」ってタイトルが「おいおい」です。
でもねえ、んなこたぁどうでもいいのですよ。
43日に渡ってロケされた東京(一部鎌倉)の描写は紛れも無い本物。三丁目のなんちゃらが逆立ちしても勝てないリアル・トウキョウです。
大体、日本人だって海外行きゃトンデモな映像撮るでしょ。もし日本が50年前に「仁義なき戦い ジンバブエ死闘篇」とか「座頭市樺太慕情」とか撮ってりゃ似たような描写してたと思います。
お話は要するに「レザボア・ドックス」。
パチンコ屋を隠れ蓑に強盗団を組織する外人グループのリーダー(ロバート・ライアン)の仲間(ロバート・スタック。実は潜入捜査官)に対する“友情以上ホモ未満”の感情を描いたクライム・アクションです(え、違う?)。
花を添えるのはシャーリー山口こと山口淑子(李香蘭ね)。
キタ警部役の早川雪洲は英語の発音が悪いため「吹き替え」。英語の発音は完璧になりましたが逆に日本語が大笑いというお間抜けなことになってます。
クライマックスの舞台になる浅草松屋デパート屋上の水平回転式観覧車「ランドクルーザー」が物凄い迫力です。こんなものがあったんだ。