デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

私的名台詞ベストテン上位。 灰とダイヤモンド

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『何故いつもサングラスを?』

『報われぬ祖国への忠誠の証として…』

破れて尚残る意志。私的名台詞上位。

灰とダイヤモンド(1957年/アンジェイ・ワイダ監督)

亡命ポーランド政府壊滅を狙ったソ連の謀略という噂もあるワルシャワ蜂起。

自国内にあって孤立無援の特攻部隊と化した反乱軍は、圧倒的物量のドイツ軍の前に敗残兵となり、地下水道を這い進む事になります。

主人公マチェックは、この時地下水道に長く居過ぎて眼を悪くした、という事を「報われぬ祖国への忠誠の証」と表現したわけです。

BSで放送された時は「国を愛した記念の形見」というすっとぼけた字幕になっていましたが、認めません(笑)。

侵略者ドイツと裏切者ソ連ポーランドの為に暗殺者となるマチェック。

暗殺の瞬間、打ちあがる花火を仰角で捉えるカットは、デ・パルマが「ミッドナイト・クロス(BLOW OUT)」で引用していました。

そして、ラストの大量のシーツがたなびく洗濯物干し場のシーンは、押井守が(何の前フリもなく唐突に)「うる星やつら/第95話・ラムちゃんの理由なき反抗」で引用しておりました(大のワイダ・ファンなんだそうです)。

暗殺される労働者党県委員会書記シチューカも決して悪人として描かれている訳ではありません。

狙う者も狙われる者も、善も悪もないまま虫けらのように死んでいく・・この索漠感が堪りません。