デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

個性×個性=混沌。 ゲッタウェイ(1972年版)

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囚人とすれ違いざまにタッチするストップ・モーションに被るタイトル。私的“タイトルの出方がかっちょいい映画ベストテン”をやったら上位入賞確実の1本です。

 

ゲッタウェイ
(1972年/サム・ペキンパー監督)


スティーブ・マックイーンサム・ペキンパーウォルター・ヒル(脚本)、クインシー・ジョーンズ(音楽)…ものスゲー面子ですが、1+1が2にならないのが辛い所。

マックイーンのスター(アイドル?)性と、ペキンパーの作家性が、ヒルの詰め込み&冗長な脚本の中で行き場を失い、Q・ジョーンズの過剰にセンチメンタルな音楽が迷走を上塗りしています。

結局、マックイーンのスター性が最も強い毒気を放ち、アリ・マッグローとの夫婦再生メロドラマを軸にバイオレンスが展開するという何とも据わりの悪い出来に。

じゃ、つまらないのかと言うとそんな事はないのですが、「ワイルド・バンチ」「ガルシアの首」「戦争のはらわた」と比べると“1枚落ちる”のかなぁ、と。

ウォルター・ヒルが自分で監督して、100分くらいで納めたら重さは無いが締まった映画になったのかもしれません。

ゴミ収集車から転がり落ちるスローモーション・シーンとか、マシンガンがペーパーバックを打ち据えて行くカットとか好きな“絵”はたくさんあるのですが・・。

ラストで美味しい所を持っていくミスター・テンガロン・ハットスリム・ピケンズがいい味出しています。

アレック・ボールドウィンのリメイク版は未見なので、今度比べてみたいですね。

※関連:「ワイルド・バンチ」→2008年1月31日
    「戦争のはらわた」→2008年2月1日
    「ガルシアの首」→2009年11月9日