トラウマ刑事 V.S ダブル猟奇犯という設定は悪くないのですが、脚本穴だらけ演出隙だらけで何がなにやら。
「雷神 RAIJIN」(2008年/ジェフ・キング監督)
毎度お馴染みスティーブン・セガールの漢字二文字シリーズ。
女性の体に埋め込まれた時限爆弾解除という「ジャガーノート」な出だしはなかなか。
で、この連続爆殺魔が相手かと思ったら、ゾディアック・キラー系の連続猟奇殺人鬼が登場。「二大怪獣東京を襲撃」な展開に。
ダブル犯罪者と言えば、爆弾魔&レイプ犯の「マッド・ボンバー」、変態相憐れむ「羊たちの沈黙」を思い出しますが、お話のレベルはかなり落ちます。
爆殺魔は当然、(「スピード」のデニス・ホッパーのように)爆弾で攻めてくるのかと思いきや、ナイフ振り回しているだけ。
猟奇犯もレクターやジグソークラスの知性で挑戦してくるのかと思えば占星術に凝ったただのチンピラだし。
なにより、この二人に展開上の接点がまるでなく、単にふたつの事件が同時進行しているだけ、というのが致命的。
敵対相棒(?)となる女FBI捜査官は、事件に絡みそうで絡まず。
アクションも手数多すぎ、無駄弾多すぎ。チンピラ相手に延々格闘してどうするよ。一撃必殺の醍醐味がまるで無いじゃない。ピストルなんかお互いマシンガン並に撃ちまくっているのに当たる気配無し。
んで、驚愕のラスト(以下ネタバレ)。
事件を解決したセガール親父は忽然と失踪(理由不明。同居人っぽい恋人を爆弾魔に殺された責任をとったようにも見えますが理屈が通りません)。
彼の車が着いたのは一軒の民家(場所不明)。玄関開けると、二人の男の子が「パパ、お帰り~!」、金髪美女が「あなた、お帰りなさい」。
子供にお土産あげたら声を揃えて「SPASIBO」。
うええ、女房・子供がいたんかい、セガール! しかもロシア人?!
あの恋人と住んでいたマンションは何だったんだ? そもそもどういう身分で警察に入ったんだ? 勝手に職場放棄して無問題なのか? どれくらい家空けてたんだ?
もう「?」マークがクリスマス・パレード。意味が分かりません(笑)。
今回、脚本書いたのはセガール本人。やはりこのおっさん只者じゃない。
※関連:「ブルース・ウィリスの牙城を侵食。弾突DANTOTSU」→2010年3月14日