“些細な逃避行があれよあれよと言う間に世間を騒がす大事件に発展”モノの原点は73年にテレンス・マリックが放った「地獄の逃避行」ってのが一般的見解かと思いますが、後続に与えた影響の大きさを考えれば、本作をオリジンと看做すべきではないでしょうか。
「続・激突!カージャック」
(1974年/スティーブン・スピルバーグ監督)
無理矢理の極北な邦題です。原題は「THE SUGARLAND EXPRESS」。
裁判所に奪われた子供を取り戻す為、服役中の夫を脱獄させた妻(ゴールディ・ホーン)が警察官ごとパトカー強奪。目的地シュガーランド目指してゴーアヘッド!
どーこーが、“続・激突”じゃ。
車は出てきますがサスペンス色は皆無。テキサスとルイジアナの砂埃の中、まったりゆったりとした牧歌的な逃避行が描かれます。
逃走車を追走するパトカーのパトランプが徐々に増えていく様が爽快。遂には一般車輌含めて200台を越える“追っかけ”が(←数えているガキがいる)。
大量の車が砂塵を舞い上げているのに空気がまったりという光景は、ペキンパーの「コンボイ」やスピルバーグがゲスト出演している「ブルース・ブラザース」を思わせます(本作の撮影はビルモス・ジグモンド)。
事件がお祭り騒ぎ化していく様は71年の「バニシング・ポイント」を起点に本作を挟んで「ナチュラルボーン・キラーズ」へ。
そして、苦い結末は「テルマ&ルイーズ」へ。
好き嫌いはさて置き、やはりスピルバーグって人は時代を作っているんですね。
モーテルで音の無いアニメに夫がアテレコしてあげるシーンが好きです。