例えば、オープンハンドで構えていた手を一瞬ナックルにする・・ただそれだけで伝わる感情があります。
武術監督・サモ・ハン・キンポーの、そして演技者・ドニー・イエンの現時点に於ける最高傑作ではないでしょうか。
昨日ご紹介した「イップ・マン/序章」の地続きの続編(前編・後編みたいなものなので、必ずセットで観るように)。
佛山から香港に逃れ、詠春拳の道場を開いたイップ・マン(ドニー)。
しかし、弟子のひとりが香港を仕切る洪拳と悶着を。洪拳の師匠・ホン(サモ・ハン)は、武館を開設したければ掟に従えとイップに告げます。
それは「線香が燃え尽きるまで、他派の挑戦を受け続け、倒されないこと」。
不安定な円形テーブルの上で他派師匠の挑戦を受けるイップ。ひとり、ふたりを倒し、3人目はホン。
ドニーとサモ・ハンは「SPL/狼よ静かに死ね」でも凄絶な一騎打ちを演じていますが、“マフィアのボス対はみ出し刑事”という構図と、“洪拳対詠春拳”という図式では趣が全く異なります。
ワイヤーは使っていますが、その動きの凄まじさと美しさはクンフー対決史に残ります。
掟はパスしたものの、上納金に対する認識の違いから入会を拒否するイップ。
上納金はホンの私腹を肥やすためではなく、統治者である英国人と渡りをつける事により、香港武芸界の自治を守るためのものでした。
英国人主催の「ボクシング大会」の仕切りを任されたホンは、イップと弟子たちを試合に招待し、演舞の機会を与えますが、ここで英国人ボクサー・ツイスターが中国武術を侮辱。
謝罪を要求するホンにツイスターは「俺に勝ったら謝ってやる」と更なる挑発を。
さて、ここからは異種格闘版「ロッキー4」。
前半のイップとホンの確執と和解を「ロッキー」「ロッキー2」と見るならば、正に1本で3度美味しい見せ場の波状攻撃。
素晴らしいのは、武術に対する理念(哲学)をイップが戦いを通して体現していること。
暴力対暴力ではない畏敬の念。命のやりとりをするからこそ生まれる思いやり。
決して「ロッキー」の焼き直しでもパロディでもないと思います。
最後に入門希望生として幼年期の“あの人”が登場しますが、まあ、よく似たガキを見つけてきたものです。
是非、彼の入門後を描いた続編を作ってください(※写真下は葉問本人とあの人)。
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