遺伝子継ぎ接ぎして新種生み出し…たらモンスターに…というフランケンシュタインの系譜…なのですが、うーむ、微妙。
「スプライス」(2008年/ヴィンチェンゾ・ナタリ監督)
クライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)は夫婦科学者。
人間と動物のDNAを掛け合わせる禁断の実験に魅入られた二人は、新種の生命体を“創造”してしまいます。
「エイリアン」から「スピーシーズ」という展開は予想がつくと思いますが、ここから「エンブリヨ」かと思わせて「愛しのジェニファー」になり、「ヒューマン・キャッチャー」から「デモン・シード」という“想定内”ギリギリのライン上を転がる展開はなかなか。
ただ、エルサのちょっとイッちゃっていたらしい母親に対するトラウマとその狂気のトレスが嫌ぁなスパイスとして加わり、何とも暗ぁい仕上がりになっています。
更に、新生命体ドレン(DREN←NERD―オタク―の逆さ読み)のデザインが…。
称える声もありますが、人間体になってからのスキンヘッドで眼が離れていて鳥のような鳴き声しか発しない様子が、別のアブナイものを連想させて私はちょっと…。
ドレンのプロトタイプであるジンジャーとフレッド(イモムシとウミウシを足してでっかくしたと思ってください)が、プレス発表の壇上で殺し合いを行い(♂♀ペアの♀が♂に性転換したため)、会場が修羅場になるシーンは最高でしたが。
科学者の倫理観とか、我侭な母性とか内へ内へと走らずに、せめて後半だけでもモンスターものとしてはっちゃけてくれれば、映画的爽快感が残ったのですが、カナダ×フランス合作で、監督が「CUBE」の人となると、これが予定調和なのかもしれません。
余談ですが、クライヴとエルザの寝室に飾ってあったでっかいアニメのポスター(「奴らが来るぞ!」という日本語吹き出し付き)、ありゃ一体どこから持ってきたんでしょう?
※参考:「スピーシーズ 種の起源」→2008年5月5日
「バーバラ・カレラ~美しきB級。エンブリヨ」
→2008年8月28日
「肉体100点、顔に難有り、習性最悪。
愛しのジェニファー」→2009年3月25日
「フランケンシュタインの逆襲」
→2009年11月24日
「必殺骨手裏剣。ヒューマン・キャッチャー」
→2011年11月30日