1984年6月21日。私はバイト先の映画館で行われる試写会に(従業員特権で)潜り込んでおりました。
上映作品は「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」。
前作「レイダース」の時は、宣伝ポイントを読み誤り、“セスナから飛び降りるバイク”という絵柄一発の「キャノンボール」(東宝東和)にボロ負けして辛酸舐めたCIC。
今回は宣伝下手の汚名返上を賭けたリマッチ興行です。
2台のトロッコが坑道内を抜きつ抜かれつしながら、最後は後方から迫る濁流から逃げ、出口についたと思ったら断崖絶壁というスペクタクル・シーン。
この映像を観ながら私は強烈に既視感に襲われておりました。
『はて、これと似たようなシーンをつい最近どこかで…(!)先週見た「うる星やつら」だ!』
「うる星やつら/第138話・魔境スペシャル!面堂邸の財宝を探せ!」(1984年6月13日放送/鈴木行演出)
広大な(人跡未踏エリアすらある)面堂邸に隠された財宝を探すあたるら一行。
クライマックスは、山をくり抜いたジェット・コースター・チェイス。
2台のコースターが、抜きつ抜かれつ。最期はラムの電撃誤爆によって流れ込んだ地下水脈の濁流に飲み込まれ、断崖絶壁から…。
同じだ…。コースターに乗り込む直前に“観覧車大暴走”という「1941」チックな前フリまで入れていた所を見ても、確信犯的スピルバーグ・オマージュに間違いありません。
映画のパロディは“うる星”のお家芸みたいなものですから、その事自体は驚くに値しませんが、問題は元ネタ公開前にパロディが放送された事です。
逆だろ、順番が。スタッフの誰かが本国公開の「魔宮の伝説」を観て、居ても立ってもいられなくなったのか。
試写の間、その事が気になって、本編後半は上の空。はて、どんなエンディングだったやら(笑)。