“時系列的に出せるキャラは全部出す”
このスタンスで作られている以上、これは祭りです。
次々登場するあのキャラこのキャラを愛でていればあっという間の90分…ではあるのですが。
「劇場版 とある魔術の禁書目録/エンデュミオンの奇蹟」(2012年/錦織博監督)
奇蹟の声を持つ少女、奇蹟を否定する少女、そして奇蹟にすがる呪われし少女。
宇宙規模の巨大術式に立ち向かうレギュラー陣。
お膳立ては良いのですが、吉野弘幸氏による脚本が荒すぎ。
ステイルがいきなり上条に対して魔法名を名乗る(マジ殺りに行きます、の意思表示)のは「は?」ですし、地味ぃに路上ライブを演っていたアリサが突然アイドル衣装で踊りまくりってのも「へ?」。
宇宙エレベーターの基盤をガードロボット回避しながら手動爆砕してパージって「パトレイバー」丸パクリやないか。
しかも、地上から大気圏外まで一直線に伸びている建造物をパージしておきながら、その後の描写一切無しってのはどういうこと?
『エンデュミオンが軌道を外れていきます。地上衝突は回避されました!』
そいつは正に奇蹟…ってちょっと待て。
先端部はいいとして地上から伸びたエレベーター部はどうなるんだ? 基底部分を爆砕したんだぞ。縦数千キロに及ぶ建造物だぞ。
軌道を外れたエンデュミオンにいた(つまり宇宙にいた)上条とシャトアウラとインデックスとレディリーはどうやって地球に帰ってきたんだ。
あと、ここに触れるのは禁忌な気もするのですが、アリサの歌に奇蹟性を感じることができません。
物語を牽引するだけのパワーが無いのです。いくら「アリサの歌を聴けば奇蹟はあるんじゃないかって思える」と口で説明されても…。
“当たり前のラヴソング”1曲で宇宙戦争を終結させたリン・ミンメイは偉大だったんですね。
とは言え、見所も一杯あります(ここから方向転換してヨイショ・モード突入)。
まず画角が素晴らしい。
ファミレスのソファに座る御坂を背もたれ底部からのローアングルで映したカット(写真1枚目、2枚目)。
まるで盗撮。膝裏フェチ悶絶のショットです。
どこから見ても攻殻機動隊なシャトアウラを臀部から舐めるカメラも◎(写真3枚目)
インデックスが飼っている猫、スフィンクスが液晶テレビに跨って尻尾を振っているカット(写真4枚目)なぞ可愛いにも程があります。猫マニアは万歳三唱でしょう。
無茶振りの極地と言える神裂火織の大活躍は本作の目玉。
シャトル上部のハッチが開いて素の神裂が出てきた時は大爆笑。お前はガンバスターか。
いやあ、聖人ってのは宇宙空間でも普通に戦えるんですね。で、一仕事終えたら「あとはよろしく」と大気圏再突入。
燃えないのか?! ってか落下距離どんだけだよ。すげーな聖人。
地球すら魔方陣に組み込んだ巨大術式を作った千年を生きる呪われた少女レディリーはどう見ても「あの夏で待ってる」の檸檬先輩。
そう言えば檸檬先輩も年齢不詳だったな。「あんた、まだ高校生やってたの?!」とか言われていたし(写真一番下右がレディリー、左が檸檬先輩)。
見所満載、突っ込み所数知れずの90分。祭りの喧騒をお楽しみください。
★ご参考