「どうしてリアルな会話には選択肢とセーブポイントがないの?!」
私も任意のセーブポイントからリロードし直したい時がございます。
聖クロニカ学園高等部2年、転校生・羽瀬川小鷹は、金髪(母親がイギリス人なので地毛。ただし中途半端なプリン色)と目つきの悪さのせいで、ヤンキーと誤解され友達ができません。
ある日、小鷹は誰もいない教室で誰かと話しているクラスメイト、三日月夜空を目撃。
「お前…幽霊とか見えるのか?」
「はあ、何言ってるの? あたしはただ友達と喋っていただけよ。エア友達のトモちゃんと!」
ここにも人間関係不全に悩む人間がひとり。
どうすればリアルな友達が出来るのか? 部活? ありえない。既に2年も半ば。人間関係はとっくに形成されている。そんな所に特別な技量も無い人間が友達が欲しいなどという不純な理由で入ってきて受け入れられると思うのか?!
いや待てよ、そうだ、部活だ。入る部がなければ作ればいいのだ。
夜空はシスターマリアを顧問に抱きこんで、談話室のひとつを占拠、「隣人部」を立ち上げます。
小鷹は問答無用で部員に。最初の入部希望者は柏崎星奈。
聖クロニカ学園理事長の娘。容姿端麗・スタイル抜群・成績優秀・スポーツ万能、常に取り巻きがいる学園の華。
「何であんたみたいなリア充が…」
「あたしも、友達が欲しいのよー!」
その後もコミュニケーション力に難有りという残念な男女が友達作りの予行演習のため「隣人部」に入部してきます。
とは言え、部員全員(クールビューティ/巨乳お嬢様/天才メガネっ娘(腐女子兼痴女)/女装美少年/兄萌えゴスロリな妹/天才幼女のシスター)が小鷹に好意を向けているので、実態は小鷹を中心にしたハーレムもの(「お前は既にリア充だ!」)。
巧いのは、友達を作ろうとする“イタさ”とハーレムものの“イラつき”を感じさせないストレスフリーな作りになっていること。
ただ、残念な点も幾つか。
学園ラブコメにおけるキャラパターンは出尽くした感があるので、既存キャラとの被りは致し方ないとして…
(戦国武将になぞらえた美少年・楠幸村は、「バカテス」の木下秀吉と丸被りですし、大喰い幼女なシスターマリアは中の人が井口裕香という事もあってインデックスとほぼ同一キャラですが、これは確信犯でしょう)
問題はメインヒロインである三日月夜空のキャラ設定。
星奈に対する陰険かつサディスティックな言動が少々行き過ぎ。活字で追っている限りは笑いに昇華できているのかもしれませんが、画と音がつくとちょっと勝手が違います。これでは星奈がかわいそう。
で、最大の欠点が、小鷹の突っ込み技量の不足。
結構深刻な話を笑いに変えられるかどうかは主人公の突っ込みに掛かっているのですが、これが弱い。
ハルヒにおけるキョンの手数の多い独白突っ込み、中二病における勇太の間合い重視な掛け合い突っ込みに比べるとエライ事消極的。サボっているとさえ言えます。
ここいらへん、もうちょっと練ってくれれば、笑って泣ける王道ラブコメになったでしょう。実に残念。
第1期は小鷹(タカ)と夜空(ソラ)が10年ぶりの再会を果たすところまで。星奈との過去や幸村の正体(?)などは2期「NEXT」で。
北米版BD-BOXは全12話+TV未放送1話(内容的に地上波に乗せるのは難しかったみたい)をDVD/BD各2枚に収納した4枚組み。約5,000円。
因みにタイトルは「HAGANAI」でサブタイが「I Don’t Have Many Friends」。
国内版はBOXがないどころかTV未放送エピを単品7,000超えで販売。そりゃ色々特典がついているのでしょうが、「本当に好きなら幾らでも買うだろう」という考えは思い上がりだと思うぞ。