デストピアな近未来、パンキッシュでオルタナティブなハイテンション活劇。
実に爽快ではあるのですが、何というか、“カルト”と呼ばれる事を最初から狙っている広告会社が作ったような下心が見えちゃうのがちょっと…。
「タンク・ガール」
(1995年/レイチェル・タラレイ監督)
西暦2033年。彗星の衝突で海が蒸発し、見渡す限りの砂漠と化した地球。
僅かな地下水脈はマルコム・マクダウェル率いる“ウォーター&パワー社(以下W&P社)”が独占。
さらに砂漠の地下にはリッパーと呼ばれるミュータントが。
こんなお先真っ暗な世の中でも前向きかつ能天気に生きる女がおりました。
名前はレベッカ(ロリ・ペティ)。仲間と共にW&P社の水をガメて生活しておりましたが、W&P突撃部隊の急襲喰らって囚われの身に。
水堀人足として奴隷暮らしと相成りましたが、そこで出会ったジェット(ナオミ・ワッツ)と意気投合して脱獄。
ベティは戦車をかっぱらって“タンク・ガール”に、ジェットは飛行機かっぱらって“ジェット・ガール”に。
要所要所にアニメを挟み、オルタナティヴ・ロックの勢いで押し切ろうとするのですが、大した展開があるわけでもない(むしろ回り道が多い)ので、いささか冗長な印象。
104分はちょっと長いかな。あと15分削って90分弱にしたらノリの良さだけで凌げたかもしれません。
この頃のナオミ・ワッツはドン臭い感じが逆に可愛いのですが、IMDbには“Naomi Watts is ashamed of this film.”なんて一文が。
“なかった事”にしたいみたいです(笑)。
地底ミュータント、リッパーのデザインはスタン・ウィンストン。その特殊メイクの中にはアイスTとイギー・ポップが。
色々と贅沢なのですが、色々と残念なカルト志願フィルムでした。