1月15日の放送開始に先立って劇場3部作の第1弾を。
「亜人 -衝動-」(2015年/安藤裕章監督、瀬下寛之総監督)
ある日突然、人ならざる者-亜人-となった高校生・永井圭。排斥と捕獲の対象となった圭に差し伸べられる二つの手。
ひとつは親友・海斗。もうひとつは亜人・佐藤(コードネーム:帽子の男)。
人物の関連性だけを見れば「東京喰種」と丸被りです。
目の細い初老の紳士(人ではない)と頭ツンツンな親友(一般人)
キャラ立ちは「東京喰種」に軍配ですが、お話の転がし方と動かし方は圧倒的に亜人。
ポリゴンののっぺりした質感に違和感を覚えるかもしれませんが、感情をどこかに置き忘れた主人公やその母親の不気味さをうまいこと表現しています。
息子が亜人と分かった途端、「まさか永井圭が…」とフルネームで呼ぶ母親。合理主義の行きつく果て。
そして圧巻だったのが、亜人が現出させ、コントロールする事が出来る“黒い幽霊”。亜人の思念によって動く黒い幽霊同士のドツキ合いはCGの正しい使い方。
“立派な人”になるために不要なものを切り捨てて来た長井圭と黒い幽霊。
亜人の特徴のひとつに“どんなに深手を負っていても、死ねばゼロリセットで蘇生”という後出しジャンケンのような反則技があります。
これを利用した佐藤の戦い方が凄い。
亜人唯一の弱点である特製の麻酔弾が腕に当たるや腕を切断。胴体に複数個当たれば即座に頭部を撃ち抜いて死亡→蘇生。これを繰り返しながら敵陣に突っ込んで殲滅戦。
黒い幽霊×人間、黒い幽霊×黒い幽霊、亜人×人間、どのパターンも戦闘シーンの新しい形と言えるかもしれません。
プロローグとしては十分な仕上がり。第2部のみならず、TVシリーズも楽しみです。