川っぺりの階段に腰掛けた高校生二人がただダベる。脈絡無くダベる。
そんなものが映画になるのか。なっている。だから映画は面白い。
「セトウツミ」(2016年/大森立嗣監督)
意味不明なタイトルですが、主人公である二人、瀬戸小吉と内海想の苗字を繋いだだけ。瀬戸内海。おぎやはぎと同じ構文です。
良く言えばクール、ありていに言えば根暗な秀才・内海(池松壮亮)。塾へ行くまでの1時間半、川べりに腰掛けて本を読む。
関西特有のノリで生きている極楽トンボ・瀬戸(菅田将暉)。サッカー部期待の新星でしたが先輩とモメて退部。やることなく訪れた川べりで暇そうな内海を発見。
親友という訳ではない。付き合いが長い訳でもない。お互いちょっとした時間つぶしのはずがいつしか…。
一部の回想を除いてカメラはこの川べりから動きません。必要な人物はこの川べりの背景に加わる形で二人の会話に介入してきます。実に演劇的な空間。
会話のリズム、二人の間合い。聴覚的・視覚的な「間」だけの構成。
喧嘩をしない「岸和田少年愚連隊」、関西版「紙兎ロペ」な佇まい。いつまでも続いてほしい祭りの高揚感と、いつか終りがやってくるという寂寞感。
二人の関西弁に違和感が、的な意見も目にしましたが、なあにこちとら岩下志麻の関西啖呵だって気にしない(こともない)関東人です。イメージギャップゼロ。
※監督の大森立嗣は大森南朋のお兄さん(つまり麿赤兒の息子さん)だそうです。
★ご参考