プロローグ
留学などというかっちょいい経験はありませんが、恥ずかしい体験inアメリカならたぁくさんございます。
恥を忍んで告解しましょう。いささか昔話ではありますが、アメリカの治安と人間の行動パターンはそう簡単には変わりません(多分)。強制的に海外研修とかに行かされる方々の参考になれば幸いです。
Act1:転職者の受難
とあるコンビニチェーンに就職した時のお話。初出社した当日。
『伊藤君、来月アメリカ行って』
『は?』
『うち主催で流通業の視察研修やるから。事務局やって』
『事務局。ええと、何をすれば……』
『考えて。パスポート持ってる?』
『持ってません』
『すぐとって』
海外はおろか飛行機に乗った事もない(今笑っただろ)人間に向かって、転職して初出社したその日にアメリカ行けとは御無体な。しかも研修事務局って・・・。
(パスポートってどうやってとるんだろう?)
旅行の諸手続きと引率は旅行会社がやってくれます。事務局の仕事は金の管理と参加者のメンテ、あとは事前の資料作成と帰国後の報告書作成ということのようです。
肝心の英語は……英語は…。
覚えた英語はただひとつ。
May I have a receipt please?(領収書くれ!)
研修は全国の関連会社の社員約20名。
ほぼ全員海外渡航経験なし。英語能力皆無。
『英語でsorry言われたら何て答えりゃええんかの?』
『そらthank youに決まっとろうが』
『いや、違うだろ』
『thank youやて。間違いにゃあって』
thank you・・・thank you・・・馬鹿の大行進が始まりました・・・・。
Act2:ダラスの安い日
初の上陸地はテキサス州ダラス。
そう、テリー・ファンクとスタン・ハンセンが、電ノコ振り回して大統領を暗殺したあのダラスです。
案の定、初日から
『顔半分化粧した所で部屋の外出たらドア閉まって開かなくなっちゃった』だの
『部屋のテレビでエロ映画全チャンネル観たらフロントでもの凄い額請求された』だの愉快な仲間が目白押し。
以後、エロ映画は、誰かの部屋に集まって集団鑑賞する“自衛策”をとる事にいたしました。
『みんな~、研修だよ~』と呟きつつロサンゼルスに移動。
この頃はまだYenの価値が高く、サークルKでバドワイザー1箱(24本)が何と9$99¢!
『ジャンク・コーラ以下じゃねえか!』
迷わず抱えてホテルへ。冷蔵庫はありませんが氷ならタダで手に入ります。
水を張った洗面台にビール缶ぶち込んで、上から氷をざあぶざぶ。
『明日チェックアウトだから今晩中に全部飲むぞ』
愉快な仲間に動員かけて大宴会。
精根尽き果てて眠りについた深夜2時、ホテルの外で何やら物音が…。
Act3:ダラスの怖い日
割と高層階の部屋なのにガラス越しにはっきり聞こえる人の声。
語調から察するに「無駄な抵抗は止めろ。手を上げて出て来い」的な事をハンドスピーカーでがなっているようです。
次の瞬間、鷲掴みにした癇癪玉を叩きつけたような乾いた音が。
『銃声?!』
ホテルはリトルトーキョーの外れ(なぁおい。もちっとマシなホテルとれんかったんか、南●国際旅行?)。
日本なら銃声の後はパトカーのサイレンですが、さすがアメリカ。主役は空からやってきました。
『ブルーサンダーだ・・・』
いや勿論、ガトリング搭載の武装ヘリではなく普通のパトロールヘリでしたが。
結局、ヘリの爆音と銃声の応酬は明け方近くまで。
「8時過ぎたら外出るな」ってのはこーゆー事か。
普段、銃火器には目の無いような事を言っておきながら、いざ本物の銃声がしたらビビりまくりチビりまくりのていたらくに寂寞感にも似た自己嫌悪が。
なるほど、ブロンソンが粛清しようとした街だけのことはありますです、はい(←精一杯の負け惜しみ)。
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