冒頭《ハル・ニーダムに捧ぐ》の文字。
あとはお察し公道レース。
「キャノンレース」(2014年/ハルヴァルド・ブレイン監督)
自動車修理工場を経営する傍ら出場する地元サーキットの常勝チャンピオン、ロイ(アンドレス・バースモ・クリスティアンセン)は、スピード違反120回、離婚歴2回。愛車のマスタングだけが生きがいの(世間一般の基準に照らせば)駄目男。
この駄目男を「生涯のライバル」として付け狙うTT(ティーティー。トロンド・ハルボ。めぐみんを追いかけているゆんゆんみたいな奴)に挑まれた公道レース。
街の中心部までじゃ近すぎる。せっかくだからでっかく行こう。
首都オスロからノルウェー最北端のノール岬まで。スカンジナビア半島縦断2200km。
タイマン勝負と思いきや「まてまて、そんな面白い話、二人だけじゃ勿体ない。俺たちも混ぜろ」と噂を聞きつけたスピード野郎が大集結。
普通、こういう状況なら賭場が開帳して「どっちに賭ける?」な展開になるものですが、賭けよりも一緒に走る方を選ぶあたり、国民性が出ているのかもしれません。
参加費用は100クローネ(昔から二人の間で取り決めている1勝負の賞金。1デンマーク・クローネは約19.25円なので1925円。今回は勝者総取りにしても大した額にはならないでしょう。「激走!5000キロ」の賞品=ガムボールを思わせる安さです)。
約束の夜。全車集結GO AHEAD!
地理が呑み込めていないので、要所要所で地図が出るのは助かります。
ロイの別れた妻との間に出来た娘とか、ロイの周りの愉快な仲間たちとかもレースに関わってきますが、美味しい役どころはロイたちが若い頃から取り締まりに執念を燃やしている地元警察のフィリップ(ヘンリク・メスタド)でしょう。
静けさを求めて休暇を取り、釣りに興じていた所、レースの爆音を聞きつけて即撤収。ヘリを呼びつけて現場へ(警察局特殊班とかに出世している!)。
ちょっと、ルパンの復活を喜ぶ銭形みたいで微笑ましい存在です。
レビュー眺めていると「ワイルド・スピード」あたりと比較して迫力不足だのレースとしてのリアリティがないなどと言い垂れている人がいらっしゃいますが、何をおっしゃいますやら。
ハル・ニーダムに捧げているんですよ。お手本は「キャノンボール」に決まっているじゃないですか。
いいんですよ、ユルくて。
フィヨルドの美しい景観を眺めつつ、軽~いギャグ(レース車と知らずにヒッチハイクしてずっと祈り続けている外国人バックパッカーとか、地方警察官の耳慣れぬ方言に固まるフィリップとか、当局の妨害をトンチで出し抜く地元応援団とか)に1/125秒くらい頬緩ませればそれでいいんです。
道を塞がれた?なら道を作ってしまえ。
まあ、フェリーの時間に間に合ってしまえば、それまでの時間差が帳消しになってしまうのはどうかと思いましたが(せめて船着き場までの到着時タイムを取って、着岸時点から時間差再スタートにするとかしないと。離岸時ジャンプ乗船の扱いをどうするかとは別にして)。
今作、ノルウェーで大ヒットして続編が作られているのですが、何故か邦題がバラバラ。
2作目が「クラッシュ・ゾーン」、3作目が「アスファルト・バーニング」(原題は「BORNING 2」「BORNING 3」なのに)。
おまけ
本作ヒロインポジ(?)になるお姉さん(ヤニ・スカヴラン)は梅宮アンナに似ていると思いました。
★公道レースのマスターピース3選。
★本日9月21日はビル・マーレイ(1950~)の誕生日(おめでとうございます!)
すっとぼけぶりが堂に入っているこちらのゾンビものを。
そして、本日のTV放送は、ビル・マーレイが某主演女優(のひとり)と揉めに揉めて続編を降板した(と言われている)こちら。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】