
本日6月9日は「ロックの日」。
分かりやすい語呂合わせですが、エレキギターの名機「ギブソン・レスポール」の生みの親であるレス・ポールの誕生日でもあります。
ギブソン・レスポールの使い手と言えば、エース・フレーリー@KISSと平沢唯@放課後ティータイム(だよな!?)。
なので、KISSの名盤or「けいおん」の名曲でも良かったのですが、本日はジョン・ロード先生の誕生日でもあるので、グイっと趣旨を捻じ曲げて、第1期ディープ・パープルのこのアルバムをご紹介。
「DEEP PURPLE Ⅲ」(1969年発表)
発売時の邦題は「素晴らしきアート・ロックの世界」。
そうです、アートです。リッチーが勝負に出た大鉈振るうハードロックへの路線変更の前夜祭にして第1期パープルの終焉作です。
実は発売は既にメンバーチェンジが為された後。
ハードロック路線の足枷になるヴォーカルのロッド・エヴァンス解雇。後任候補イアン・ギランとのリハーサルについて来たロジャー・グローヴァーも抱えることにしたので、ベースのニック・シンパーもとばっちり解雇(その後、裁判に突入)。
リッチーとジョンが二人の解雇を決めたのは、1969年4月初めから5月末まで行なわれた2度目のアメリカ・ツアーの途中と言われていますが、案外ロジャーの作編曲能力(金銭的嗅覚?)に惹かれちゃった(目移りしちゃった)ってのが正解のような気がします(ベーシストとしての力量は多分ニックの方が上)。
この横車感のある交代劇に加えて米国での発売元テトラグラマトン・レコードが翌年倒産したためアメリカでは廃盤…という内に外に迷走をしていた時期の作品…なのですが、これが実に各メンバーが持ち味を発揮した好アルバム(←まとまりがあるという意味ではありません)。
イアン・ペイスのアフリカンなリズムが印象的な「影を追って」で幕を開け、締めは12分を超える三部構成の組曲「4月の協奏曲」。
この組曲の第1部で女性合唱と混声合唱が入るのですが、エンニオ・モリコーネ的な美しさを湛えていてまるで「サントラ」。
ジャケットはヒエロニムス・ボス(ルネサンス期のネーデルラントの画家)の三連祭壇画『快楽の園』の右翼(通称「音楽地獄」)を白黒にして、メンバーの写真を挿入したもの。

御開帳原典はこんな感じ。

突然のメンバー交代、アートロックという地味なジャンルと続く「インロック」の衝撃との印象格差、意図的に暗さを強調したジャケット(アメリカではあまり良いイメージではなかったらしい)、レコード会社倒産による米国内廃盤などが祟って顧みられることの少ない1期最終作ですが、忘れるには惜しい作品です。
「パープルは2期から」と言う方に聴いて頂ければ、と。
★ジョン・ロード関連あれこれ。
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