デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ぬめぬめな悪役が素敵。 豹/ジャガー

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同意異語な単語を並べただけのタイトルが頭悪そうで“いい感じ”。

「豹/ジャガー

(1968年/セルジオ・コルブッチ監督)


メキシコ革命を舞台にしたマカロニ・ウェスタンですが、このタイトルからは想像もつきませんね。

米語題は“THE MERCENARY”。傭兵ですね。「俺は裏方」と言って金で革命指南を請け負う白人フランコ・ネロを指しているのでしょう。

ネロの役名をジャガーとしている解説もありますが、本編中にそのような(字幕に反映された)台詞はありません。ジャッキー・チェンの役名がストーリーと関係なく“ドラゴン”なのと似たようなものでしょうか。

人物描写が浅いので行動原理に今ひとつ納得がいきまんが、モリコーネの音楽に乗って景気良く人が死ぬ“一山幾らの人命デフレ”はマカロニの王道。

悪役のジャック・パランスがぬめぬめとした爬虫類を思わせる風貌で生理的に嫌々です(←褒めてます)。前髪をカールさせた半端なパーマもナイス。

※写真はポーカーでジャックの4カードの相手に「クイーンのワンペアだが後ろに二人いるから4カードだ」というジャイアン超えな理不尽要求をするパランス叔父さん。

張り詰めた決闘シーンで一瞬ニマっと笑うのも「ああ、この緊迫感堪らねえぜ」って感じでいいですね。堂々たる悪役ぶり。

胸に挿した白い花が赤く染まっていく所とか巧いなあと感心しきり。

「夢に向かって走れ。でも眼は開けておけよ」

疑問山積みですが、観終わった時は妙に爽やかな印象の残る不思議な映画です。