デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

エヴァもコナンもライダーも。デジャヴ満載。 原子人間

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モノクロ79分という小振りな作品ではありますが、全編デジャヴの嵐です。

原子人間(1955年/ヴァル・ゲスト監督)

有人探査ロケットが宇宙から帰還(と言うか景気良く墜落)。パイロット3名の内、生存者は1名。他の2人は宇宙服だけ残して消失・・。

冒頭、帰還したオールド・ファッションなデザインのロケットが地面に突き刺さっている絵柄は「未来少年コナン」の“残され島”っぽいです(写真上・中)。

特殊な環境から帰還したらバケモノになっていた、という設定はウルトラマンの「故郷は地球」シルバー仮面の「一撃!シルバー・ハンマー」(地底で孤独耐久テストをしていた宇宙飛行士候補生を引き揚げたらバケモノになっていた)を思わせます。

動植物を取り込み同化させ、変態を繰り返す様は「物体X」「(原作版)デビルマン」、襲われた人間がミイラ化してしまうのは「スペース・バンパイア」チックです。

最初に右手とサボテンが同化するのですが、仮面ライダーのサボテンバットの回で本郷猛の右手がサボテンに同化するシーンがありましたね。元ネタこれでしょうか(写真下)。

すっかり人の形を失った“それ”を高圧電流で倒すためにロンドン中の電気を集める(市街が次々に停電していく)アイデアは正にヤシマ作戦

余談ですが、ジョン・カーペンターは「パラダイム」の脚本を本作の主人公クォーターマス博士にちなんで“マーティン・クォーターマス”名義で執筆しています。

モンスターSFなのに妙に格調高く(イギリス映画だから?)、古典の誉れを上塗り。

この風格あるSFをほとんどリメイクと言っていいレベルでパクッた上に下品と低俗を上塗りしたサイテーな映画があるのですが、その話は次回(実はそっちの作品の方が好きだったりして・・)。